金融の本領という書名の拙著が、ありがたいことに長く話題となってくれている。 来週は若手弁護士50名と、”金融の本領とは” というテーマで勉強会をする予定。 クリスマス気分よりも、そちらの方が面白そうと多数のバリバリ弁護士が集まることになった。
きっと盛り上がるだろうと、いまから楽しみである。 なにしろ、金融の本領はなにかを考えれば考えるほど、最近は ”金融って、そんなところまで行ってしまったの?” と驚くようなことが、次々と話題になっているのだから。
今朝の新聞報道でも、あの NY 証券取引所が新興のインターコンチネンタル取引所に買収されることになったとか。 200年を超す歴史と名声を誇る NY 取引所が、産声を上げて10年ちょっとの格下の傘下に入るわけだ。
といっても、売上高営業利益率でも3倍の差をつけられているし、時価総額でも水をあけられている。 資本の論理からいったら、別に大騒ぎする話でもない。
また、新聞の論調にもあるように、ここ数年は現物株式の取引が低迷している。 そのため、取り扱い手数料も伸び悩んでいる。 一方、高収益のデリバティブ取引を中心とした新興の電子取引所は、低コストを武器に勢いを増している。 時流に乗っているとか、経営力の差とか、いろいろコメントできよう。
ちなみに、世界の取引所を時価総額でみると、今年6月に非鉄金属の取引量で世界最大のロンドン金属取引所 (LME) を買収した香港取引所が世界1位。 ついで、デリバティブ取引で世界最大のシカゴマーカンタイル取引所 (CME) が続く。 そして、今回の買収を発表したインターコンチネンタルとなる。
収益力や資本力、あるいは時価総額で強いところが弱者を吸収して、ますます強くなるのがビジネスの世界ではごく普通の姿。 まさに、優勝劣敗と適者生存の論理そのものである。
ただ、そう割り切るだけで良いものだろうか? 取引所にしても、デリバティブにしても、そこに参加する人達が ”より有利に儲けよう” だけをトコトン追求するのは、それぞれの自由。 まさに強者の論理だが、果たしてそれでどこまで人々の幸せにつながるのだろうか?
金融にしても経済にしても、多くの人々がより豊かな生活を送れるように機能すべきもののはず。 そこのところは機械やコンピュータにできるものではない。 やはり、人間がしっかり意識すべきところである。 間違えても、後は野となれ山となれではない。
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