日本の国内総生産(GDP) が600兆円を超えた。 500兆円を超えてから32年もかかって、ようやくのことだ。
この経済成長をさらに高めるにも、賃上げは欠かせないということで、企業へのプレッシャーは強まっている。
大企業をはじめ有力企業の多くは、次々と賃上げを発表している。
とりわけ新卒採用では、ビックリするような好条件を提示したりしている。
一方、中小企業や商店の大半は賃上げの流れにも、なかなかついていけない。
それでなくても、仕入れ価格全般の高騰に対し、売値をそうそう上げられない企業群は経営に苦しんでいる。
従業員に対し給料を上げてやりたくても、おいそれとは賃上げに踏み切れないのが現実である。
そういった弱小企業群は淘汰されていくだけ、そうピシャリと言ってしまえばそれだけのこと。
ただ、日本経済の大半は中小企業が支えている。 また、雇用の大部分を引き受けてくれている。
ということは、そうそう簡単に日本全般の賃上げは進みそうにないわけだ。
では、どうしたらいいのか? 経済を成長させて、国民全般の所得を高めることだ。
企業個々に賃上げの実施を迫るよりも、経済成長によって国民の所得が増えれば、多くの人々の収入も増加する。
そのためには、国民全般に向けて、とにかく預貯金を抱え込もうとする傾向に意識改革を迫るのだ。
老後とか将来が不安だから貯蓄しておこうとする国民意識に、むしろそれはマイナスだという認識を高めよう。
経済はお金をつかうことから始まって、つかわれたお金がグルグルまわって経済活動は拡大していく。
また、お金がより多くつかわれた方向で経済活動はどんどん大きくなっていき、新しい産業も生まれる。
その時、1000兆円を超える個人の預貯金マネーは、とんでもない力を発揮する。
預貯金マネーのたった3%が動きだすだけでも、30兆円もの資金が経済の現場に放り込まれるのだ。
それだけで、日本経済は瞬時に5%成長を実現するし、国民全般の所得も増える。 賃上げ以上の効果だ。
そう、いまは国を挙げていかに預貯金マネーを取り崩し、消費に向かわせるかの大キャンペーンを実施することだ。
これといって買うモノがない? モノでなくてもいい、とにかくお金をつかうのだ。
たとえば、文化・教育・芸術・スポーツ・技術・寄付・NPO・ボランティアなどに、30兆円のお金がまわればいいだけのこと。
そちらの分野で雇用も生まれ、新しい産業として急成長し、日本経済全般にも波及していく。
企業に賃上げを迫るよりも、はるかに大きな経済効果が生み出されることになる。
そう、いまは国民全般に預貯金マネーの一部を自分の好きな分野でつかおうよと大キャンペーンを張ることだ。