トランプ氏による「いつでも強権を発動させるぞ」でもっての、「脅しと取引」の政治がはじまった。
強権? 世界最大の経済力と最強の軍事力を背に、力でものを言わせよとする傍若無人の姿勢だ。
脅しと取引は、自己に有利な状況や条件を一方的に引き出そうとするもので、対等性や公平性に欠ける。
スローガンとしては、MAGA(米国を再び最強にする)だが、本当に米国民全体のことを考えているのだろうか?
たとえば、米国の製造業などの産業を立て直し、雇用を増やすという建前で輸入品に高い関税をかける。
高関税率で輸入品が高くなれば、米国内の産業界はたしかに競争力を取り戻すことができよう。
といっても、それは一時的なカンフル注射のようなもので、米国産業界の根本的な競争力強化につながるかは疑問。
その横で、輸入物価をはじめ米国内での諸物価は高騰し、消費者には多大な負担を強いる。
そう、各方面から指摘されているように、米国内のインフレ率が高まるのは避けようがない。
となると、トランプ政権による高関税政策は、米国の産業界の一部を喜ばすものの消費者にとっては迷惑千万である。
一方、米国へ輸出している世界各国にとっては、報復関税を課すなどで対抗しようとする。
それらは、世界貿易の縮小につながり、世界経済全体の成長力を削ぐ展開となっていくのは避けられない。
米国のみならず世界経済全体にとってもマイナス要因となっていく材料が多すぎる。
それだけではない。 トランプ氏による強引な政治は、世界で台頭してきている強権政治国家を喜ばしかねない。
ロシアのプーチン大統領、ハンガリーのオルバン首相、中国の習主席などは、トランプ氏との取引に乗ってくるだろう。
早々に、世界で進めていたDEI(多様性、公平性、包摂性)政策を却下したように、トランプ氏には世界との協調など眼中にないようだ。
つらつら考えてくるに、世界経済は荒れ模様となり、地政学リスクも高まっていくことになろう。
これから折にふれて、世界の政治経済社会あらゆる分野で、混乱と無秩序が頻発してこよう。
それに同調して、株式市場はじめ世界の金融マーケットも荒れ模様となっていこう。
以前から主張してきたように、われわれ本格派の長期投資家からすると、どんどん売り上がっていくに如かずだ。
いつでもどんな時でも、人々の生活があって、それを支える企業活動も一時として止まらない。
そこだけを判断基準において、まずはなによりも資産を守りつつ、したたかに殖やしていこう。