日米とも国債の先行き不安が

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日本では超長期国債を中心に新規発行分の消化難が表面化している。

先行きの金利上昇を見越しているのか、財務省が提示する発行金利では妙味ないという投資家の判断である。

妙味ない? そう、近い将来に金利が上昇していくとすると、提示されている発行金利では低いということだ。

それではということで、発行金利を引き上げれば、マーケットでの市場金利も上昇する。

それは、国債はじめ債券の市場価格を引き下げることに直結する。

つまり、債券投資家にとっては警戒信号が灯るということになる。

市場関係者はもちろんのこと、国債発行によって資金を調達したい財務省にとっても、頭の痛いところだ。

そもそもの根っこには、世界的なインフレ圧力の根が深く、金利上昇の懸念がくすぶっていることがある。

しばらく前までのインフレ高騰といった騒ぎは遠のいているが、いつインフレが再燃してもおかしくない状況にある。

その典型が、トランプ関税だ。 各国は税率引き下げの交渉を米国と進めているが、物価高要因となるのは間違いない。

その米国でも、国債の大量発行による財政運営は限界に近いと言われ続けている。

世界最大の借金大国である米国で、頼みに綱の米国債発行が消化難となってくると、やっかいである。

消化難どころか、中国など一部の国で保有している米国債の売却が進んでいる。

ひとつかじ取りを間違えると、米国債の売却が米国の長期金利を押し上げることにもなりかねない。

だからという面もあって、トランプ政権は関税引き上げによる財政収入の増加にこだわっている。

財政収入を劇的に増加させて、米国債の発行を抑えようという意図なんだが、それが世界インフレを助長しかねないのだ。

7月から8月にかけて訪れる、次の財政の崖っぷちで、米議会がさらなる国債増発を認めるかどうかが焦点となっている。

さあ、債券市場そして金利動向はどうなっていくのか、警戒心を持ちながら見守りたいところである。