絶好の売り場

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自民党の総裁に高市氏が決まったことで、株式市場は大歓迎の上げっぷりを見せている。

彼女が主張している積極財政への期待感を先食いして、日経平均株価で2000円を超す上昇となっている。

どうも、株式市場と投資家だけが大はしゃぎしているといった感じだ。

考えるまでもないことだが、日本の財政は既にひどい状況となっている。

それに対し、今回の自民党の総裁選でも、財政問題にはどの候補者も振れていない。

野党は野党で、消費税の減税や社会保障負担の軽減化など、選挙民受けする主張ばかり。

その中でも高市氏は、日本経済の活性化には積極財政が不可欠というのが持論である。

彼女が次期首相となれば、第2のアベノミクスともいえる政策を展開することになろう。

果たして、それが可能だろうか? 積極財政に打って出るといっても、その資金源はどこから捻出するのか?

国債を増発するといっても、金利は上がってきており、いよいよこれから金利負担のコストが大きくのしかかってくる。

それに対し、さらなる国債増発となれば、発行コストは上がり国の利払い負担は急増する。

一方、国債や株式ETFの大量購入でアベノミクスに積極協力した日銀も、そうそう動けない。

なにしろ、日銀は既に国債発行残高の54%を保有するという、中央銀行としては超のつく異常な状態にあるのだ。

また、株式ETFに関しては、先日も100年かけて保有を減らしていくと発表したばかり。

そういった状況下で、一体どんな積極財政を打ち出せるというのだろう?

下手をすると、インフレや金利高を煽ることになり、株式市場など金融マーケットに逆風をもたらしかねない。

そう考えると、今日の2000円高は絶好の売り場を提供してもらっているといえよう。

もともと、われわれ本格派の長期投資家は現行のカネ余りバブル高のマーケットからは、できるだけ離れようとしてきた。

それでも、まだ保有している株式などのうち、やたら買われている銘柄があれば、どんどん利益確定していこう。

先週も書いたように、投資運用では買って売ってのリズムを守ることが、いのちと言えるほどに重要である。

その意味でも、大きく噴き上がっている今は、利益確定する絶好のチャンスと考えよう。

マーケットからは、しっかりと離れた立ち位置で、高市氏の積極財政とやらを見守ろう。