来年度の予算が見えてきた。 今年度よりも7兆円増えて、122兆円になるという。
それに対し、税収が80兆円台に乗せてくると見込まれており、財政赤字の拡大は限定的となるようだ。
とはいえ、社会保障費は39兆円台に乗せてきていて、毎年コンスタントに増加していっている。
これは人口構成の高齢化もあって、今後もまだ増え続けるのは、どうにもならない。
一方、国債費は31兆円台となってきたが、最近の金利上昇を反映している。
その金利上昇だが、まだ始まったばかり。 今後の金利上昇を見込むと、国債費はさらに増加することになる。
すると、70兆円台に乗せてきた社会保障費と国債費は、いずれ80兆円台へとなっていくのは避けられない。
社会保障費と国債費という2大歳出項目が、来年度予算でも57%以上を占める。
その比率が、今後どんどん高まっていくことになり、日本の財政を圧迫し続けるわけだ。
もっとも、経済成長率が高まり、税収が85兆円90兆円と増加していけば、財政赤字の拡大を抑えることはできる。
そこで出てきたのが、高市政権による責任ある積極財政ということなんだろう。
積極予算でもって経済成長率を高め、税収を増やしていこうという考えだ。
そう上手くいくといいのだが、大きな落とし穴が待っている。 そこを指摘したい。
これまでは国債の発行金利を、さして意識しなくて済んだ。 それで、国債を野放図に増発してこれた。
しかし、金利が上昇に転じてきた今後は、そう気楽に国債の増発とはいかなくなるのだ。
ちなみに、今年度でも国債の新規発行と、既発国債の借り換え発行とで100兆円を超す。
ここまで大量に国債を発行してきたから、満期償還した国債に対応して借り換え発行する国債の額も巨額である。
つまり、新規と借り換えとで、毎年100兆円を超す国債が発行され続けるわけだ。
その100兆円を超す国債の発行金利が、インフレと経済成長による金利上昇で、どんどん高くなっていくのだ。
すなわち、来年度予算の国債費31兆円は、今後35兆円40兆円へと急増していく恐れが多分にある。
それはそのまま財政圧迫となっていく。 また、いつまでも国債の大量発行が可能かどうかも問題となってくるだろう。
さてさて、責任ある積極財政は、この先どうなっていくのだろうか?
