不況も暴落も起こるのが自然だよ

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思えば、この40年余り、世界は景気後退や不況を回避すべく、その手法や技術をこれでもかこれでもかと磨き上げてきた。

その最たるものが、各国の中央銀行による、マネーの高度なコントロールである。

たとえば、景気後退の懸念が高まってくれば、それを阻止すべくマネーを大量に供給する。

たしかにマネーを大量に供給することで、景気の落ち込みは阻止できる。

しかし、それはインフレを招きかねないという副作用がともなう。

そこの微妙なところを、上手くコントロールする金融技術を磨き上げてきたわけだ。

おかげで、世界とりわけ先進国では大きな景気後退とか不況突入といった局面を、長いこと回避してこれた。

マネタリズムの観点からいうと、首尾よくやって来れたと自画自賛したいところだろう。

ところが、よくよく考えると、景気変動という自然の展開を、人為でもって抑え込んできたにすぎない。

人為で抑え込んできた副作用が、マネーの大量供給にどっぷり浸かった経済体質になってしまったことだ。

そして、通貨の番人であるはずの中央銀行に景気対策の役割を果たさせるのが常態化した現状である。

そもそも景気変動は、経済活動における需要と供給の調整の延長線上にあって、ごく自然の展開である。

需要が多くなり過ぎれば価格は上がり、景気は過熱してどこかで失速する。

それが景気後退であり、時として不況突入となる。 そこで多くの企業が淘汰されていく。 それを、不況の効用という。

時代や競争についていけない企業が淘汰されることで、経済の健全化が自然と図れるわけだ。

そう考えると、マネーの大量供給でずっと不況を回避してきた世界経済では、不況の効用がまったく働いてこなかったといえる。

その結果は、ゾンビ企業などを大量に温存させてきただけでなく、マーケットや経済のカネ膨れバブル化だ。

すなわち、需要と供給という経済活動の原点からすると、本来あるべき調整をずっと先延ばしさせてきただけのこと。

それだけ、世界経済とりわけ先進国でみると、不健全で不合理な贅肉がたっぷりとついてしまっているのだ。

それら贅肉を削ぎ落すべく、マーケットの暴落からはじまって経済活動全般の不合理調整は、あってしかるべきだろう。

今年は今日で終わり。 おそらく来年は、早い段階から荒れ始めるのだろう。

いよいよ、われわれ本格派の長期投資家の待ってましたの展開である。

みなさん、どうぞ良いお年を!