いまは全国5か所だが、地元民を合唱に巻き込んだ本格的なオペラ活動がすごく盛り上がってきている。
我々のところでもやりたい、そう言ってきている候補地も含めると、来年中にも9ヶ所になる勢いである。
おそらくだが、5年もすると全国で20ヶ所ぐらいの地方で、さわかみオペラ財団ならではの賑わいとなっていよう。
さわかみオペラならではの? そう、地方によくある市民オペラとは、方向性がまったく違う活動だ。
一般的にはプロの歌手たちによるオペラ公演と、市民オペラとは別物となっている。
その点、さわかみオペラ財団が繰り広げている全国展開は、プロのレベルに市民を引き上げたオペラ公演をやるのだ。
音大を出ていないどころか、楽譜も読めない一般市民を数年かけて特訓し、そこそこ歌えるようにまでなってもらう。
もとより、さわかみオペラ財団では本場イタリアのレベルを意識したオペラ公演に徹している。
それが、姫路城や名古屋城そして奈良は法隆寺でのジャパン・オペラ・フェスティヴァルに結実している。
日本が世界に誇る歴史的建造物を借景として、イタリアでも最高レベルのオペラ公演を融合させたもので、世界唯一無二である。
その、さわかみオペラ財団だから、日本全国で展開しているオペラ活動においても最高レベルへの妥協は許されない。
地方の人たちにも、歌唱力を高めてもらうだけではなく、イタリア語でしっかり歌ってもらわなければならない。
そういった高レベルを目指した特訓が、地方に住む人々に挑戦意欲とやる気を出させているようだ。
毎年その地域での本番が終わって幕が降りた瞬間、やり切った達成感と充実感で皆が抱き合って号泣しだして止まない。
そして、来年の本番に向けて、もっともっと頑張ろうと皆で誓い合う。
その仲間意識だが、この週末から新しい段階に入ってきた。 というか、さらに進化しだした。
青森は弘前でオペラ公演をやったわけだが、地元の合唱団の準備がいまいちだった。
それをみて、徳島とか喜多方そして南魚沼から先輩の合唱団が手伝いを買って出てくれた。
皆さん遠くから手弁当で弘前オペラ公演を成功させようと駆けつけ、一緒に舞台を盛り上げてくれたわけだ。
遠路はるばる弘前に来てくれた合唱隊は、助っ人の意識を越えて各地の仲間が集まることに新たな楽しみが広がった。
それまでだと一生会うこともなかったであろう人々と、どんどん仲良くなっていけるのだ。
もともと地域社会や経済の活性化をオペラでということで始めた全国展開だが、面白がって楽しんでいる人達を中心に、どんどんスピードアップしている。