米国を筆頭に日本や各国で、AIとか半導体とかに巨額投資が相次いで発表されている。
そういった巨額投資をみるに、ものすごい将来可能性が広がっていると期待は膨れ上がる。
ただし、よくよく考えれば、これらは世界的な超のつくカネ余りの一環である。
いずれ別の機会に書くが、1973年の石油ショック以来ずっと続いている、世界の過剰流動性が根っこにある。
その上に、80年代から延々と続いてきた、年金マネー買いによる株式はじめ金融市場の右肩上がり上昇が乗っかる。
そして、2008年のリーマンショックによる空前の金融緩和とゼロ金利政策で、巨額の資金を供給した。
これらが巨大な岩盤となって膨れ上がり続け、世界的に与信能力をどんどん高めている。
年金はじめ金融機関や企業などは保有資産の評価が高まって、それをベースに次々と新しい投資を展開できるのだ。
新しい投資もみなプラス勘定となっているので、さらなる投資に飛び込んでいけるという好循環である。
そう、世界的な超カネ余りで膨れ上がってきた金融資産が、200兆円とかの巨額投資にもOKを出しているのだ。
それもこれも、膨れ上がり続ける世界の評価益が巨大な岩盤として存在しているからのこと。
なにかの加減で、金融資産とその評価益のどこか一角が崩れ出したら、すべてが連鎖瓦解するのは容易に想像できる。
それが、ずっと主張してきているカネ余りバブル高マーケットの崩壊である。
株高をはじめ金融資産全般の資産価値が高まっての野放図な与信拡大だが、それが逆回転をはじめと大変。
世界の金融市場あちこちで、大きく拡大した与信の返済が迫られるという大混乱が待っている。
株価など金融資産の価格が下落に転じて、評価損がどんどん膨れ上がる中で契約履行を迫まられるのだ。
与信を受けていた契約を履行するための現金づくりで、保有資産の売却を余儀なくされる。
その現金づくりが金融マーケットの下げをさらに加速させるという悪循環に陥る。
もうそうなると、巨額投資が宙に浮くどころか、企業そのものの経営を揺るがす事態となっていく。
大逆回転が始まると、金融マーケットは一気に縮小し、カネ余りが一転してカネ詰りが世界経済を覆うことになる。
そういったマーケット現象に直面して大変なことになったと、世界は大騒ぎしよう。
われわれ本格派の長期投資家からすると、そもそもの異常なカネ余りで膨れ上がったものが、しぼんだだけのこと。
むしろ、真っ当な経済への回帰現象と歓迎である。
