ヨーロッパも米国も株高が続いている。 日本もそれにつられて上がっている。
さて、この株高どこまでいってしまうのだろう? バブル高の様相が、やたらプンプンしているというのに。
たしかに企業の業績が好調とか、EU諸国では防衛予算の増額で軍需株が上がっているとかで、買いは入りやすい。
しかるに、目先の好材料は横へ置いて、ちょっと長期のスパンでみると、株売り材料が待ち構えている。
まず、トランプ関税で米国の貿易赤字縮小を狙ってはいるが、米国の物価上昇や成長率鈍化は免れない。
それが、米国企業の業績動向に影響が及びだしたら、どこかで株価を下押しさせることに。
いくら、AIなどハイテク株が好調だといっても、それだけで米株高を引っ張り続けるのは難しい。
次に、大幅減税法案が議会承認を得る見通しで、それを囃した株買いがどこまで続くものか。
富裕層には大歓迎だろうが、米国の税収入は大きく落ち込み、財政赤字はさらに悪化する。
米国の政府債務残高は膨らむ一途で、国債発行の増額承認で7月8月の議会が大もめとなりかねない。
当然のことながら、米国の金利には上昇圧力がかかってくるし、株高にもマイナスである。
それを見越してか、トランプ大統領はFRBのパウエル議長を解任するとか、金利を1%にまで下げろとか高圧的である。
仮に、パウエル議長を解任しトランプ大統領の言いなりの後任者が利下げに走ったら、どうなるか?
間違いなく、インフレに火がつき、米国債は大きく売られるだろう。
それが国債利回りを跳ね上げ、市場金利の急上昇が株高を大きく冷やすのは間違いない。
市場金利が暴れ出すと、経営基盤の脆弱な企業の資金繰りが、たちまち厳しくなる。
それが、32兆ドルに積み上がっている世界の債務残高にも影響を及ぼすことに。
債務の借り換え時に金利が上がっているのは辛い。 金利上昇を消化できない発行体は債務不履行に陥りかねない。
債務不履行(デフォルト)の嵐が吹き荒れだすと、もう株買いどころの話ではない。
金融マーケット全般に売りが殺到して、株式はじめあらゆる投資商品が大きく下げることに。
こう考えてくると、この株高はますますバブルの匂いが高まってくる。
われわれ本格派の長期投資家からすると、そんなバブル高からはずっと前から遠く離れている。
それで、いつマーケット全般の棒下げが始まっても驚かない。 世の中は大騒ぎするだろうが。