国際金融協会によると、3月末で世界の総債務残高は324兆ドルに達したという。
世界中の国家債務、事業会社や金融機関そして個人の債務の総合計が、324兆ドルにも上るということだ。
324兆ドルといっても大きすぎてピンとこないが、世界経済の3倍を大きく上回る借金の残高である。
2010年初め頃からみると、世界経済にして1個分の借金が積み上がったことになる。
それもこれも、歴史に例をみない資金のバラマキ、つまりは異常なるカネ余りのなせる業である。
とりわけ、2010年代からのゼロ金利政策が世界の債務残高を急膨張させているのだ。
いつの借金も必ず返済する必要がある。 それが、経済の大原則である。
借金を返済するにあたっては、世界経済が順調に拡大成長してくれるのが絶対条件となる。
経済成長に伴って所得が増加し、債務残高を徐々に落としていくことができる。
たとえば、借り替え時に額を減らしたり、ゼロにしたりもできる。
それに対し、世界的なインフレ圧力と金利上昇は明らかにマイナス要因となってくる。
とりわけ金利上昇は借金の期日が来て、借り換えするにあたっての負担を急増させる。
つまりは、これから世界324兆ドルの債務残高の重みがグングン増してくるわけだ。
どこかで、借り替え不能(デフォルト)の借金倒産が企業や個人の間で頻発しだすのだろう。
さすがに国家債務においては、増税などの手段を講じることができるが、増税は成長率を下げさせかねない。
一方、金利が上昇してきているので、国債などの多発は金利支払いコストを急増させてしまう。
ちょっと待って。 たしか、インフレは借金を棒引きしてくれるのでは?
たしかに健全なる経済成長があれば、収入増加によって借金負担の重さは減っていく。
ところが、トランプ関税で世界経済の成長率は下がる見通しだし、インフレ要因は増している。
その先では、スタグフレーションもささやかれ出している。 不況時の物価高だ。
スタグフレーションともなると、世界324兆ドルという借金の重さはグーンと増してくる。
つらつら考えてくるに、2008年のリーマンショックから急増した資金の大量供給でカネ膨れしてきた世界経済だ。
その張りぼて経済が、いよいよ収縮の過程に入っていくわけで、相当に大きな混乱が待ち構えていると覚悟しよう。
まあ、どのような混乱に巻き込まれようと、地球上82億人の毎日の生活はなくなりっこない。
それを支える企業活動も一時として止まることはない。 そこが、われわれ本格派の長期投資家の拠って立つところである。