米国の雇用統計が一般予想よりも悪かったのを受けて、米国そして日本株市場は大きく下げている。
それも、ドスーンといった大幅下げだ。 高値圏を舞っていたカネ余りバブル高マーケットを象徴するかのように。
ここまで、世界的なカネ余りをいいことに、各国のマーケットでは値上がりしそうな企業の株式をどんどん買い上がってきた。
それが買うから上がる、上がるからさらに買うのスパイラル循環となり、ますます多くのマネーを惹きつけることに。
値上がり益を担保に、さらに買い上がる資金を調達したり、レバレッジを利かして、どんどん買い上が図式だ。
そういった買い上り相場は、なにかの加減で下げに転じると、一気に売りが殺到してドスーンと下がる。
いさ売りとなれば、もう理屈ぬきだ。 とにかく売っておこうで、売りが殺到する。
それが先週末の米国市場、そして週明けの東京株式市場での大幅下げである。
今後の展開? それは、神のみぞ知るの領域で、あれこれ詮索するのは株式評論家たちの仕事。
われわれ本格派の長期投資家からすると、なにも大騒ぎすることはない。
米国はじめ世界経済を大きくそして長期のスパンで眺めて、どんな流れになっていくのだろうか推測するといい。
先ずは米国だが、恒常化している巨額の貿易赤字を解消させようと、トランプ大統領は関税戦争を仕掛けている。
ここまででも、関税を引き上げた効果として税収入は相当に高まっているとのこと。
その反面、輸入価格は上がっていて、それが国内物価にどう影響してくるかは、これからの統計待ちである。
はっきりしているのは、トランプ関税前よりも米国の物価や生産コストは間違いなく高まっていることだ。
それらは、いずれ企業のコスト圧迫要因となって、業績にも反映されてくる。
となると、企業全般の業績悪化で株価は売られる方向にあると考えられる。
いや、パウエルFRB議長に対し、トランプ大統領金利引き下げ圧力が高まる? それは株高要因だろう?
一時的には、政治的にも利下げ圧力は高まろうが、インフレ再燃の方が根強い。 だから金利はむしろ上昇しよう。
トランプ関税などで、景気減速懸念? それは、十分にあり得るし、場合によってはスタグフレーション突入も。
こんな具合に、ちょっと長めの時間軸で考えるに、株価全般は売られる方向にあるのだろう。
となると、空前のカネ余りでバブル高してきた世界のマーケットだ、これから売り圧力の重みがずっしりと効いてくる。
やはり、以前から主張してきているように、このマーケットからは一刻も早く遠ざかって、外から眺めるべしだろう。