下げを知らない投資家たち

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どうみてもバブル買いが続いているが、買っている本人たちはバブルの意識がないようだ。

それもそうだろう、世界の投資家のほとんどは、この45年間の上昇相場しか知らないのだから。

2008年9月のリーマンショックの時も、先進国が中心になって金融バブル崩壊を必死に食い止めた。

史上空前の大量資金供給と、ゼロ金利そしてマイナス金利政策でもって、世界の金融マーケットを強力に支えたわけだ。

結果として、その後は一層のバブル高となったし、1980年代からの上昇相場をますます助長させた。

つまり、世界の投資家のほとんどが原体験からして、金融マーケットは上がっていくものとしか考えられないのだ。

知らないということは、恐ろしく強力な力を秘めている。 少し下がったら、もっと買えばいいとなる。

ところが、世界の株式市場中心に、高値圏で大幅な乱高下を繰り返すようになってきている。

これは、バブル高や大きな上昇相場の最終段階では、必ず見られる現象である。

本来なら高値警戒感が高まり、高所恐怖症がマーケットに充満してくるところ。 だが、その気配はまったくなし。

個人投資家、とりわけ若い投資家たちは、いまだ買うことしか考えていない。

機関投資家たちも、この仕事についてこの方、本格的な暴落相場なんて経験していない。

そして、「音楽が鳴っている間は、踊りを止めれない」という職業病もあって、売ることなど想定外もいいところ。

個人も機関投資家も買い姿勢を維持しているというか、買うことしか考えていない。

となれば、このバブル高はまだまだ続くと考えたくもなる。 誰も売ろうとしないのだから。

まあ、そう信じて疑わない人たちに対しては、つける薬もない。 せいぜい、お大事にだ。

もういつ大きな下げが始まっても、おかしくない。 そういった状況となってきている。

たとえば、トランプ王のディールとはいうものの、行き当たりばったりで支離滅裂な政策の綻びが出だしてきている。

それらは、どれもこれも経済現象として、これからどんどん表面化してくる。

物価高や金利上昇、雇用問題、AIとか半導体関連以外の産業界全般における退潮や、成長率鈍化とか。

どれもこれも、株高など金融マーケットにとってはマイナス要因となってくる。

そう、投資家たちが売らなくても、マーケット事態が崩れに入っていくのだ。

いざそうなるや、下げを知らない投資家たちは今度は目茶苦茶な売りを出してくるだろう。

われわれ本格派の長期投資家からすると、そのあたり売り地獄の阿鼻叫喚も読みの範囲内ではあるが。