成熟経済下にある日本では、どう消費を高めるかが成長率に大きく影響を及ぼす。
その点、個人金融資産2023兆円のうち、預貯金に眠っている1023兆円を活用させない手はない。
たった3%とか5%が消費にまわるだけで、日本経済はたちどころに5%とか8%の成長軌道に乗る。
では、どうすれば老後の安心と確実な利殖を求めて止まない国民の貯蓄選好を消費に向けさせるかだ?
年金の制度を抜本的に変えてしまうのだ。 つまり、65歳以上の国民全員に月25万円の年金を給付する。
いま年金を受け取っている高齢者には、その金額をすべて上乗せしてやる。
現役層には、これまでの積み立てに応じた金額を、やはり上乗せしてやることで、一切の不公平感は生じさせない。
こうしてやれば、すべての国民が老後不安から永久に解放され、安心し余裕たっぷりの老後生活を送れる。
そうなれば、600兆円を超すといわれる高齢者貯蓄の多くが消費にまわりやすくなる。
国民全員への月25万円給付の原資としては、消費税を社会保障税に呼称変更して、税率を20%に引き上げる。
同時に、マイナンバー制度を徹底させて、国民すべての所得状況をコンピュータ把握させる。
そうすれば、給料などの所得ならびに金融所得、そして年金給付の上乗せ分も、すべて一括把握できる。
それでもって、適正な税率を課すことで公平に所得税を徴収できし、年金給付の大判振る舞いも調整できる。
所得税の税率は累進性を高める一方で、低所得層には現金給付を実行できるのも、マイナンバー制度の徹底で可能となる。
一方、年金税の徴収によって、年金の積み立てが不要となる。 現役層にとっては、その分を消費にまわせる。
当然のことながら、年金の運用は廃止の方向で年金積立運用特殊法人など所管の官庁は大幅に削減していける。
現行の株式運用や海外投資勘定は、ゆっくりと縮小させていって、7年から10年をめどに保有ゼロにもっていく。
国債など債券投資は、全額を国庫に移管して即刻償却や満期保有で、やはり投資分をゼロにしていく。
それでもって、毎年の成績を追いかける資金運用に堕している年金制度を、安定度の高い税ベースに切り替えるのだ。
ここまで大改革を断行すれば、国民の年金不安は解消できるし、増える一途の社会保障費も税金でカバーできる。
人口の高齢化がもたらしている多くの問題が解消に向かい、個人消費も間違いなく高まってくる。
成長率の高まりと並行して国家財政も健全化に向いだす。そうなれば、20%の社会保障税も15%そして10%へ下げることも可能となろう。