毎日のように、地方経済や社会の活性化が、あちこちで語られている。
少子高齢化もあって、衰退ぶりが加速している地方も多く、いまや日本全体の問題ともいえよう。
それに対し、各地で地方活性化のシンポジウムなど、どうやって活性化していくかの会議がひんぱんに開催されている。
とはいえ、多くは行政が中心となって有識者を集めた、おしゃべりの世界に留まっている。
問題意識を高め、どう行動していくかを議論するのはいいが、そこから先の行動はどうも尻すぼみである。
多くの人々を巻き込んだ活性化には、さほどつながっていないからこそ、地域活性化がかくも問題視されるのだ。
最近では、インバウンドなどの海外客や国内観光客の誘致に、やたらと力を入れているところも多い。
世界あるいは国内から観光客がどんどん来てもらうには、それだけの魅力を高め続けなければならない。
それには、ビジネス感覚をもって継続的に投資することが不可欠である。
一時のブームとして終わってしまっては、その地域の衰退にブレ―キはかからない。
そんな中、さわかみグループがやっている、「オペラを通した地域社会の活性化」は着実に広がっている。
地元を元気にさせたい情熱を持った人たちが、地元民たちを巻き込んだオペラ公演を、どんどん大規模にしていく。
オペラは総合芸術の華といわれるように、歌手や演奏家たちのみならず舞台や衣装、照明など多くの人々が絡んでくる。
またオペラは、いくらでも贅沢にできるから、お金はいくらあっても足らない。
そのお金を地元民がオペラを楽しみながら、賛助金やクラウドファンディングで提供する流れが高まっているのだ。
拠出したお金の大半は、地元でつかわれる。 それもあって、地元経済の活性化にも着実につながっていっている。
この流れをさらに本格化ならびに加速させようと、徳島では財団を設立された。 徳島音楽芸術振興財団だ。
徳島県内でのオペラはじめ音楽文化を広める活動を、県民からの寄付によって賄っていこうという財団だ。
その先では、日本では初となる本格的なオペラハウスをも建設しようじゃないかという展開である。
これも、より高いレベルのオペラをと市民が参加挑戦している間に、「お金の出し癖」がついてきたからだ。
そう、自分たちのオペラを楽しみながら、気持ち良くお金を出そうじゃないかという文化だ。
この流れを高めていけば、地域経済や社会は地元民の意思と地元民のお金で、いくらでも活性化できるはず。
誘致などで、他人のお金を当てにするのとは違う。 自分たちが抱え込んでいるお金を、楽しみながら使っていくのだ。
それでもって、地元が元気になり、地元経済が活性化すれば、文句なしだろう。