世の資金運用と長期投資運用の違い

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機関投資家をはじめとして、世の多くの運用は資金運用(Money Management)といえよう。

運用益が得られるであろう案件に、タイミングよく資金を投入して、首尾よく利益を確保していく。

銀行など金融機関の貸付け業務も、いついつまでどういった条件で資金を用立てるかの契約に基づく。

債券も同様、定められた期間の資金融通で、年に1回か2回、定められた利金を資金提供者に支払う。

年金などの運用においても、毎年の成績評価を意識して、少しでも多くの運用益を確保しようとする。

これなども、資金運用の典型である。 できるだけ高い精度でもって運用益を求める方向で資金を動かそうとする。

どれもこれも、収益計算が前面に立った資金の動かし方であって、元金の損耗といったリスクはできるだけ避ける。

したがって、資金運用の活躍するフィールドは、どうしても金融取り引きの現場やマーケットが主体となる。

そこには、資金を融通する上での契約とか一定のルールがあって、参加者はそれに従う。

資金運用の世界では、できるだけ計算の立つ資金投下でもって、そこそこの利益を手にしようとするわけだ。

一方、投資運用は Investment Management といって、あくまでもインベストメントが主体となる。

インベストメント? そう、将来に向けて資金を投入するわけだ。 将来の社会をつくっていくといってもいい。

そこには、どんな将来社会を望むかの夢や想いがあって当然であり、それを実現させようとする意思が働く。

将来のことだから、どうなるかなんての計算など立たない。 そういった資金の投入だから、リスクも覚悟の上か?

否、世の中こうなったらいいなと願う方向で資金を投入していき、将来の社会をつくっていくわけだ。

すこしずつ着々と出来上がっていく将来の社会に住むのは、われわれ自身である。 それが投資のリターンである。

でも、投下した資金はどうなるのか? もちろん投資運用で投入した資金が消えてなくなるわけではない。

将来をつくっていく方向で、同志と思える企業をとことん応援していくのが投資運用である。

応援するという以上は、その企業の株価が低迷している時ほど、われわれの出番である。

マーケットなんて大きく買われたり、ドスンと売られたりで変動きわまりない。

将来をつくっていく同志企業の株式が大きく売られている時には、われわれは断固として応援買いに入る。

安いところをたっぷりと買っておいて、そのうち高くなってきた段階で売れば、十分なる金銭的リターンが得られる。

そう、われわれ本格派の長期投資家は腰のすわった企業応援投資のリズムを大事にするから、リスクなんて意識もない。