年金運用などでは、株式なり債券なりの運用者は与えられた資金を最大限に活用して成績の最大化を求められる。
現金ポジションが高いままだと、資金の活用度が低い、運用効率が悪いと指摘される。
それが故に、どの運用者も与えられた資金をフルに活用した投資ポジションを保つように努める。
世界の機関投資家運用で大半は、そういったフルインベストメントを専らとした運用をよしとしている。
それでもって、マーケット動向とはつかず離れずの運用を続けていくわけだ。
一方、われわれ本格派の長期投資家は、キャッシュ・ポジションも運用戦略の一環としている。
マーケットが人気化して、株価などが大きく跳ね上がってきたら利益確定の売りを出して、現金ポジションを高める。
高めた現金ポジションは、次の買い仕込みのための大事な軍資金として手元に置いておく。
そして、大きく下がった時に待ってましたの買いを入れる。 手元に置いておいた現金が大きな働きをしてくれるわけだ。
その点、年金はじめ機関投資家運用では、そもそも現金ポジションは未稼働資金とみなされる。
したがって、利益確定して得た現金は、すぐさま次の投資に向けなければならない。手元に置いておくなど許されない。
この違いは大きい。 運用ポジションを常時100%近くにしておこうとすると、投資のリズムなんて無いも同然。
上昇相場がずっと続いている間は、それでも構わない。 ひたすら買っては売りを繰り返しておけばいいのだから。
ところが、上昇相場が高値圏に入ってきたり、荒れ模様になってくると、運用ポジション100%は厳しくなる。
大きく下がった時でも、ただマーケットについていくだけ。 待ってましたの買いなど入れる軍資金がない。
機関投資家たちが身動き取れなくなっている時に、われわれ本格派の長期投資家はどんどん買い仕込みをしていく。
そこで、決定的な差がつく。 機関投資家たちは大きな下げ相場で何もできない。
彼らはマーケットが戻ってくれるのを待って、やれやれと胸をなでおろす。
一方、われわれ本格派の長期投資家は高めておいた現金ポジションを有効活用して、バーゲンハンティングを実行した。
マーケットが戻ってくれると、その買いが大きく貢献してくれる。 当然、大きな成績差となってくる。
こんなこと、投資運用では当たり前の当たり前である。 ちょうど今が、そのタイミングである。
トランプ政治にマーケットが振り回されている今は、キャッシュ・ポジションを高めておくに如かずだ。