10月は株価の乱高下を繰り返す波乱相場が続いたが、月末の日銀発表を機に株価全般は大幅上昇に転じている。 それを見て、強気を語る専門家や機関投資家が増えている一方で、個人投資家の間で利益確定の売りを出す動きも出ている。
相場のことだから、この先どう転がるかは誰にもわからない。 個々の投資家が好きに判断して、ここから買うなり利益確定するなり、好きに行動すればいい。
われわれ長期投資家は違う。 世界経済の10年はおろか20年先まで読み込んだ大きな流れをしっかり読み込み、そこへ過去50年ぐらいの歴史的な考察を加えると、ここから10年ぐらいは100%株式保有でいく。
どうしてかというと、それが一番魅力的な投資となり、ダントツに安全な財産の置き場所なんだから。 もちろん、株式投資なら何でもいいのではなく、投資対象企業を厳選しなければならないけどね。
先ずは、投資対象としての魅力からいってみよう。 国債はじめ債券投資では、10年物で0.4%台にしかまわらない。 米国債を買っても2%台だ。 その程度の投資リターンなど、インフレ到来で瞬時に吹っ飛んでしまう。
一方、株式投資であれば世界経済の成長にもインフレにも乗っていける企業を選ぶことで、短期間ではともかく長期的には大きな投資リターンを期待できる。 債券投資よりはるかに魅力的である。
歴史的にみても、1983年ごろからの長期金利の低下(債券価格の上昇)傾向は、そろそろ終わりを迎えてもいいところまで来ている。 米国の未曽有ともいわれる金融緩和からの出口戦略が、一つのきっかけとなるのだろう。
30年越しの債券の時代が終わりを告げつつあるのだ。 債券投資に向かっていた膨大な金額の資金が、徐々に株式市場に向かい始める、いわゆるグレートローテーションがもう始まっていると言っていい。 その兆候は、米国株市場の腰の強いじり高傾向に表れている。
次に安全性。 債券投資の時代が終わるということは、債券の売りが断続的に出るということだが、どこかで売りが殺到する局面が必ず訪れる。 その場合、債券は金利裁定商品だから、債券市場全体が暴落症状に陥る。
となると、国債を大量保有している銀行など金融機関は、売るに売れない国債投資で大幅な評価損を蒙る。 場合によっては経営不安も発生しようし、預金の支払い制限もあり得る。
国債価格の急落で金融市場が混乱に陥れば、資金の安全な落ち着き先を模索する動きが必ず出てくる。 そうなってくると、健全な経営基盤で成長力のある企業への株式投資が、財産の置き場所として一番安心できるといった認識が高まってくる。
もっとも、国債が暴落すれば株式市場も一時的に急落しよう。 しかし、それが債券から株式への歴史的な資金シフトにダメを押すことになる。 なにしろ、国債など債券は金利裁定商品だから、売りがなくなるまで一律で下げ続ける。
ところが、株式投資の場合は個別企業の業績動向によって千差万別の株価変動となり、暴落相場でも逆行高する銘柄がいくらでも出てくるのが普通。 国債暴落となったら、一気の株式シフトで株価が V 字型の急騰する銘柄が続出しよう。
ともあれ、歴史的なグレートローテーションはもう始まっている。 それは10年以上も続く大きなトレンドであり、後になればなるほど実感が高まろう。 歴史の大きな流れには、目先の小手先細工など通じない。 愚だ愚だ言わず、早めに乗っておくことだ。