かつて英国病が蔓延していた60年代から70年代にかけて、平均的イギリス人の生活水準はどんどん下がっていった。 その頃、黄金の60年代を謳歌していた米国経済や驚異的な高度成長期に入った日本と比べ、英国経済のジリ貧ぶりはもう惨めという他なかった。
その米国経済も60年代の終わりごろから80年代初めにかけて、双子の赤字やら教育の頽廃そして犯罪の増加などで、みるみる落ち込んでいった。
これら一国の経済全体とか人々の平均的な生活という視点からは、まことに厳しい現実がずっと続いた。 そういった全体的かつ平均的な生活水準の低下現象は横へ置くとして、英国や米国の富裕層の一部は余裕たっぷりの生活を送っていたのも事実である。
どこに違いがあったのか? 長期投資していたかどうかだけのこと。 一部の富裕層は長期の株式投資による資産運用を当たり前のようにやっていた。 それが決定的な差となっていったわけだ。
強い経営基盤を持った企業であれば、自国経済が長期低迷とじり貧にあえいでいる時でもシェアを伸ばしていけるし、世界の成長に乗ってでもビジネスを拡大していく。 そういった企業の株式に長期投資しているだけで、資産防衛と増殖の両方を手にできてしまうのだ。
一部の富裕層と書いたのは、下手な投資で資産を減らして行った金持ちたちが数限りなくいたのも事実であるからだ。 下手な投資とは? 目先の相場を追いかける短期投資に走ったり、本格的な長期投資をどっしりと進めていく運用者に恵まれなかったりが、その代表格である。
まともに長期投資していた人、下手な投資に走った人、なにもしなかった人、それぞれで天と地の差がついてしまった。 その現場にいた経験から、さわかみファンドを世に出さなければと心に決めたわけだ。 できるだけ多くのまじめな人々と一緒に、余裕と安心感たっぷりの生き方を追求できたら、どれほど幸せか。
この20年ほど、日本経済はかつての英国や米国が苦しんだと同じような長期ジリ貧状態にある。 たまたまデフレ現象下にあったから、預貯金主体でもやってこれた。 とはいえ、ゼロ金利下で資産増加には全くつながっていないのも厳然たる事実。
その横で、財政破たんや国債暴落そしてインフレといった生活基盤をガタガタにさせかねない、考えたくもない現実がひたひたと迫ってきている。 国全体がユデガエル状況に陥っていっているといっていい。
いつも書いているように、どんなことが起こっても人々の生活はなくならないし、それを支える企業活動もずっと続く。 したがって、本格的な長期の株式投資が一番安全で安心できる財産の置き場所となる。
この当たり前といえば当たり前の、とはいえ長い歴史に裏付けられた財産の保全と増殖方法を、世に訴えつつ実践しているのがさわかみファンドである。 この2週間のようなマーケット波乱に直面すればするほど、さわかみファンドに預貯金マネーが大挙押し寄せてきていい。
10年もしたら、はっきり分かるはず。 かつて英国や米国の一部の富裕層が余裕たっぷりで経済低迷を乗り切っていった。 いま日本が同じような立場にある。 だからこそ、さわかみファンドがあるのだ。