やれることやった人と、今のままでいく人々と

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 今週は予定がびっしり入っており、長期投資家日記を書けるのは今日と木曜日だけ。 それで、今日は週初めでもあり、ちょっと重めのものになります。

 日本の年金制度も国の借金も、このままでは大変なことになると誰もが感じている。 その横で、人類がいまだ経験したことのない高齢化社会が着々と進んでいる。

 一方、政府はじめ日本の指導層はデフレを克服するなど、目先の問題をクリアすることに重点を置いている。 アベノミクスで成長力を回復すれば、財政赤字や国の借金問題は改善に向かうし、年金問題も制度変更で対応できるといった捉え方だ。

 政策の方向としては正しいし、現に景気回復の兆しをみて産業界は諸手を上げて歓迎している。 年金問題も厚生省官僚の机上作文では、何とか切り抜けられることになる。

 問題は、アベノミクスを実施に移していく方法論にある。 昔の自民党時代に戻ったような既得権と利権がらみの予算ばら撒きが横行し、どこまで日本経済の活性化につながるような改革となっていくのかでは疑問符が付きまくる。

 また、厚生官僚の年金作文は問題先送りの無責任さで、常に後手を踏んできた歴史となっている。 問題が深刻化するころには、今の担当者はお役御免になっていて、彼ら官僚体質の無作為は延々と引き継がれることになる。

 これらは、日本の政治や官僚機構の根深いところに巣食っている、ちょっとやそっとでは解消できない構造的な問題である。 ということは、国の財政赤字や借金そして年金問題は、なかなか解消に向かわないと考えるのが妥当だろう。 すくなくとも、それが庶民感覚である。

 ここからが大事なところである。 もう既に国の借金は1000兆円を超えているのに、今年も40兆円強の国債が新規に発行される。 この悪循環は、よほど抜本的な規制緩和を断行して、日本経済の4%~5%成長が定着して5年ないし7年たたないと解消に向かわないだろう。 さて、日本の政治にそれができるだろか?

 国がこのまま借金を永久に積み増していくことなど不可能である。 もう既に日銀による財政ファイナンスの臭いが漂い始めているが、借金財政が行き詰まった瞬間に金利の高騰と円価値の下落が日本経済に襲ってこよう。

 おそらく、すごいインフレになろう。 もしくは、ひどいスタグフレーションとなり、金利や物価が急上昇する横で景気は落ち込むことで人々の生活を直撃しよう。

 そうなれば、今でさえ足元がふらついている年金財政は、もう官僚作文どころではなくなる。 金利急上昇による国債など債券価格の下落で、年金運用は大混乱に陥る。

 いざそうなった時、一体なにを頼ったら良いのだろうか? 政治は財源を失う一方で急騰している国債の利払い負担に追われるし、国民は預貯金の価値下落に直面し右往左往するばかり。 

 そんな混乱時でも、多くの企業のビジネス活動は続いている。 インフレによる物価上昇は売上価格に上乗せできるし、経営次第では国中が大混乱に陥ってもそれなりの利益を計上できる。 また、日本経済が酷い状況になったとしても、グローバルビジネスでいくらでも業績拡大できる。

 そうなのだ、国の政策に振り回されることなく国内そして世界中の人々の生活を支えている企業のビジネスは、どんなことがあっても存在し続けるのだ。 そういった企業を応援する長期投資は、国の財政や借金がどうなろうと、インフレが襲来しようと大丈夫。 もちろん、そのまま自分年金づくりになってしまう。

 どんなことが起ころうとビジネスを続けているであろう企業の株主になるということは、国の政策とはまったく別次元のところに財産を置いているわけである。

 それが、いま一番必要で安全な財産対策であり、さわかみファンドが世に訴えているところでもある。 また、株式投資をしておけば平均でも配当利回りが1.9%もあり、インフレにからきし弱い預貯金に置いておくよりはるかにましである。

 このあたりをしっかり考えて、きちんと長期投資している人は将来の大混乱を何事もなかったように乗り切れるだろう。 その横で、なにもしないままズルズルしていた人々は、いざそうなったときに不安と苦しみと財産の目減りの三重苦に襲われよう。

 自分の意思と判断で、しっかり行動しよう。 それが、自助自立の生き方である。