今や現役世代の人々ほとんどが、自分たちの年金は当てにできそうにない、それでいて若い人たちの負担は増える一途だということを知っている。
問題は、そこから先だ。 年金が当てにならないとか、税金や社会保障費の負担は増える方向にあるということは、薄々なりとも感じているのに何の対策も講じていない。 そういった人がほとんどである。
自分の将来に向けての対策といっても、真面目にしっかり働くことと、自分のお金にも働いてもらうしかない。 自分の働きに関しては、実力をつけて給与などの収入を伸ばす努力を重ねるしかない。 その点は、多かれ少なかれ誰でもやっている。
一方、お金に働いてもらうという点に関しては、大半の人々がはじめから思考停止に陥っている。 いろいろ意識している人も、実際にやっていることは思考停止とそう変わらない。
たとえば、預貯金で安全確実にといっている人は、年0.02%の利子収入でどう財産づくりを進めるつもりなのか。 100万円を2倍の200万円に増やすのに、なんと3600年もかかるのだ。
年金保険はじめ多くの資産形成をうたう金融商品は、そのサービスを提供している金融機関が国債中心の運用をしている。 10年物の国債で年0.7%にも回らないのにだ。 そんな運用では、政府や日銀が目指している2%の物価目標が現実になってくるにつれ、単純に考えても1.3%の購買力減である。
投信の時代といったマスコミ報道がかまびすしいが、4000本前後の投信の平均寿命は2年半ほどといわれる。 日本の投信は販売ビジネスの商品だから、次々と新しいファンドを設定しては乗り換え営業を強力に勧める。 どこまで本気に個人の財産づくりをお手伝いしようとしているのか、考えるまでもないだろう。
そんな中、われわれ直販ファンドはなかなか世間の認識が高まらない。 たとえば、さわかみファンドは設定来14年5カ月、まったくブレルことなく本格的な長期投資を貫いてきている。 その間の運用成績は年4.2%と大したことはないが、それでも17年あれば2倍となる計算はできる。 ずっと積立て投資していけば、それなりの財産づくりはできていく。
そのさわかみファンドの運用サイドは、年4.2%程度の成績にはまったく満足していない。 長期の財産づくりには力強いパートナーだと自負しているが、ファンド仲間数は12万人弱にとどまっている。 これをなんとしても、50万人100万人そして500万人にしていきたいものだ。