先週末にかけて、日本や米国の株式市場は大きく売られた。 トルコやアルゼンチンなど新興国の通貨安で、金融マーケットに動揺が走ったその一環である。
株式市場に限らず金融マーケットはとにかく動きが早い。 とりわけ情勢の変化には敏感で、悪材料というか不安なことに対しては、先ず売りで反応する。
とりあえず売っておいて、それからどれほどの悪材料か吟味しようというわけだ。 多くの参加者がとりあえず売っておこうとすれば、マーケット全体は過剰なほどに売り先行となる。
そういった売り先行が、さらなる売りを呼んでマーケットは大きく下げることもしばしば。 これが、いわゆる暴落相場である。 ことの発端はそれほど大したこともなかったのに、売りが売りを呼ぶ展開で相場大暴落に発展したなんて、よくある話である。
しばらく時間をおいて事態の進展をみるに、それほど悪くなっていないじゃないかといった判断がマーケットに広がっていく。 そこからは、売られすぎたものへの買い戻しがドドッと入ってきて、相場は大きく戻すことになる。
後になってみれば、一体なにをそうも大騒ぎしたのかと笑ってしまうような暴落相場が、年に3度か4度は発生する。 そういった、大山鳴動してネズミ一匹といった暴落相場を飽くことなく繰り返すのが、投資家一般の心理である。
ひとつだけ、はっきりしていることがある。 暴落相場が一段落し戻りに転じてきた時に、しっかりと買いポジションを高めてニンマリしているのが長期投資家という図式は、いつも変わらない。
われわれ長期投資家にとって暴落相場は絶好の買い仕込み局面である。 たとえ、その暴落が上に書いた一時的なものを超えて、長期の低迷相場につながっていっても構わない。
なにしろ、買うのは株価ではなく企業である。 将来に向けてしっかりと価値を高めていってくれるであろう企業を厳選してバーゲンハンティングするのだ。 たとえ株価が長期低迷したとしても、その企業の投資価値は着実に向上していってくれている。 のんびり保有していればいい。
要は、人々の生活になくてはならないビジネスを展開し、5年先も10年先も売り上げを伸ばし利益を積み上げていっているであろう企業を選ぶこと。 地味な商売でも構わない、ずっと売り上げを伸ばし続けられるような企業を株価暴落時に買っておくことだ。
さあ、今週はまだ少し下げるのか、それとも反発に転じるのか。 どちらにしても、ここへきて株価はかなり下げている。 静かに買っておこう。