今日の日経新聞によると、米国ではヘッジファンド運用の投信が伸びてきているようだ。 以前から年金資金の一部もヘッジファンドに流れているが、いよいよ投信もかよと複雑な気持ちである。
投信も年金も資産の増大化を狙って運用している。 その意味では、ヘッジファンドの運用成績が良いからという理由で、いろんな資金が流れ込んできてもおかしくはない。
ヘッジファンドは買いと売りを組み合わせて、どちらでも運用成績を上げようとするタイプの投資家である。 彼らの多くは、株式から商品まであらゆるマーケットに密着し、時事刻々の価格変動をとらえては、買いと売りの両面で値ざやを取っていこうとする。
いってみれば、小刻みな値ざや取りを高速で繰り返す運用スタイルである。 とはいえ、顧客から預かっている資金に、その数倍から数10倍の借り入れを乗っけた資金でもって、マーケットでの価格変動を取っていくから出来上がりの成績はそこそこ大きくなる。
その成績に引き寄せられるようにして、年金や投信の資金がヘッジファンドに群がってきているわけだ。 まあ、ありとあらゆる資金や運用スタイルが流れ込んでくることで、マーケットでの価格形成がより分厚くなる。 したがって、ヘッジファンドに資金がどんどん集まったところで、別になんの問題もない。
しかし、ヘッジファンドに巨額の資金が集まり、その数倍から数10倍の借入金も駆使して値ざや取りをするとなると、マーケットでの価格形成そのものが歪んでくる恐れがある。 現に、日本株市場でもヘッジファンドなどによる力まかせの売り崩しで、ひんぱんに株価暴落が発生しているではないか。
そこで存在感を増すのが、やはり長期投資である。 ヘッジファンドはじめ短期のディーリング運用に資金が集まれば集まるほど、そのカウンターとして長期投資家の存在が重要になってくる。 逆いうと、長期投資家がどっしりとした資金をマーケットに投入しているからこそ、ヘッジファンドも短期のトレーダーも思う存分に値ざや稼ぎができるわけだ。
年金などが短期の成績を求めてヘッジファンドなどを多用しようと、われわれは愚直に長期投資家層を広げていこう。 なに、長いめで見れば長期投資の運用成績はヘッジファンドを大きく上回るだろうから、堂々と本格的な長期投資を展開しようぜ。
早い話、そのうち金利が上昇に転じたら、ヘッジファンドは身動き取れなくなる。 いまのような望むがままの借り入れはできなくなるし、借り入れコストも跳ね上がる。 その頃には、長期投資の成績は彼らを大きく凌駕していることだろう。