すこしずつ報道されているが、海外の年金など中長期投資を専らとする投資家の日本株に対する意識が前向きになってきている。 アベノミクスに象徴される日本経済の立ち直りへの期待が、彼らの投資意欲を高めているのは間違いない。
日本経済が長い長い低迷から脱するとなると、これまで下げ続けてきた日本株投資比率も相当に高めなければならない。 世界的にみても日本株はまだまだ出遅れの水準にあり、投資収益を上げるなら今がチャンスである。 また、グローバルポートフォリオの観点からも日本株への投資比率を低めすぎたから、それを急ぎ是正しなければならない。
もうひとつある。 海外の投資家からみれば、いまは日本株が最も魅力ある投資対象なのだ。 中国はじめ新興国株市場が大きく崩れている一方で、金など貴金属投資も一時の熱気はどこへやらとなっている。 その横で、米国の景気が立ち直りの様相を強めており、なにがなんでものリスク回避で米国債を買っておこうといった世界のマネーの動きも薄まっている。
そんなこんだで、日本株への投資意欲が急速に高まってきているわけだ。 われわれ日本人はなかなか気づかないが、世界における日本経済の実力といったものへの認識は驚くほどに高い。 その日本経済が長い低迷から抜け出そうとしているのだから、急いで日本株を買っておこうと判断しておかしくない。
そこで問題となってきているのが、彼らの間で日本株のリサーチ陣も運用者も手薄となっている現実。 これまでずっと日本株投資比率を下げてきたから、海外の運用会社はどこも日本株担当のアナリストやファンドマネジャー不足に音を上げている。
めんどうなことに、日本株市場の主役企業の顔触れが変わってしまっている。 かつては日本株の代名詞でもあったエレクトロニクス関連企業の多くが凋落し、新しい企業が続々と登場してきている。 海外の年金など個別株を選別して中長期投資のポートフォリオを構築するところにとっては、なんとも頭の痛い問題である。
こういう状況になってくると、さわかみ投信などは海外の運用資金をどさどさっと集める大チャンスである。 なぜなら、日本の機関投資家もこの8年ほど、海外勢に負けず劣らずの勢いで日本株の個別株投資体制を弱体化させてきているのだから。 その一方で、インデックスなど指数先物取引に流れ込んでいった。 それもあって、昨年の11月半ばまでの低迷相場を真っ正面から日本株を買ってきた、またそういった長期の運用体制を高めてきたとなると、さわかみ投信を置いてほとんどないはず。
とはいえ、さわかみ投信は日本の一般生活者の財産づくりをお手伝いすることに経営資源のすべてを集中している。 海外の年金などの長期運用資金を集めようなんて気はこれっぽちもないから、上に書いた大きな流れは残念ながら他人事のように受け流している。
しかしだ、海外の中長期投資が日本株市場に向かってくるのは大歓迎。 われわれと同じような投資家仲間が増えるわけだから、こちらもやりやすくなる。
明日は早朝からのミーティング、そして夕方から地方でセミナーして一泊。 それで、次の長期投資家日記は木曜日となります。