国の財政と政治の限界 vs 生活防衛

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 今年の予算は96兆円であるが、税収その他で賄いきれない分として、40兆円を超す国債が発行される。 もう既に国の借金は1000兆円を超しているが、今年もそこへ40兆円強が上乗せされるわけだ。 今年だけではない。 来年も再来年も、この図式は続くことになる。

 もうそう遠くない将来、この図式は暴力的に崩れ落ちることになるのは明らかである。 なにしろ、国民一人あたり790万円の借金が、毎年38万円ずつ増えていっているのだ。 4人家族でいえば、もう既に3160万円の借金があるうえに、毎年152万円も借り増ししているのだ。

 どう考えても、そろそろ限界である。 その証拠に、日銀が国債を200兆円以上も買っている。 さすがに国債の直接引き受けは法律で禁止されているから、市場経由で国債を購入するという形をとっている。 しかし、どうみても財政ファイナンス、つまり国の借金に日銀を駆り出しているわけだ。

 その昔、日銀に国債発行を引き受けさせて調達した資金、つまり打ち出の小槌のような資金づくりで、野放図に膨れ上がっていった軍費を調達した。 最後は、とんでもないインフレと紙切れ国債という形で、国民にツケがまわされた。

 いまは軍費の代わりに、30兆円を超す社会保障費と既得権益層への予算ばら撒きが、国の財政に重くのしかかっている。 そのどちらにも政治家は大鉈を振れない。 次の選挙に負けるのは見え見えだからだ。

 ということは、このままずるずると崖っぷちまで行ってしまうのだろう。 ここで政治家の資質を問うたり、民主主義の限界を論じたところで、この状況が打破されることはない。

 どこかで、国債発行が消化できなくなり財政はパンクしよう。 国の予算執行がストップし、年金など社会保障費の支払いにも支障をきたす。 同時に国債は暴落し、長期金利は急騰する。 金融マーケットはじめ経済にも大混乱が生じるのだろう。

 となると、われわれはどう生活防衛しようか? たとえ自分は国債を持っていなくとも、預貯金や生命保険、そして年金で超のつくほど大量に国債を間接保有している。 その辺りは、まとめてガタガタとなろう。 年金はどうにもならないが、自分の判断が効くものに関してはできるだけ他のところへ資産疎開させておきたい。

 円は暴落するから、それを見越して海外資産とりわけドル預金にしておく? 一時的に円は暴落するかもしれないが、果たしてどこまで米国や EU がドル高やユーロ高を容認するか疑問である。 また、日本の国債暴落が世界の国債バブル崩壊の引き金となることもあり得る。

 やはり一番は株式だろう。 国家財政がパンクし金融マーケットが大混乱に陥っても、人々の生活はなくなりっこない。 その生活を支える企業活動も、なにがあろうと続いていく。 そういった生産と供給の現場に財産を置いておくことが一番安全である。 つまり、長期の株式投資である。

 もっとも、国債暴落につられて一時的に株式市場にも売りが殺到することはあり得る。 そこは、慌てない。 どうせ行き場を失った資金は株式市場へ流れ込んでくるだろうから、株価の多くが V 字型の急騰となるのは歴史の証明するところ。

 この辺り、さわかみファンドがどれだけ頼りになるかを世に示すことになろう。