米国株は静かに、じわりじわりと史上最高値を更新し続けている。 投資家が買い群がってといった、新高値相場特有の熱狂のかけらも感じられない。
こういった新値追いの相場は案外と長続きするものである。 一時の熱狂で買い上がった相場はどこかで反動局面を迎えるもの。 だが、じり高相場はそれほど大した買いも入っていないが故に、売りのマグマが溜まっているというわけでもない。
そういったじり高相場も、なにかの拍子でドサッと崩れることもある。 しかし、多くの場合は崩れそうで崩れることなく上値を追っていき、気がついたら相当な高値まで行ってしまっていたということになる。
このじり高の背景には、世界的な金あまり現象があげられよう。 先進国中心に未曽有の金融緩和政策が続けられており、行き場を求める資金の一部が株式市場に流れ込んでいるのだ。
もうひとつ、もっと大きくて構造的な株買い要因は、債券市場から株式市場への資金シフトがじわじわと始まっているのだろう。 いわゆるグレートローテーションである。
1983年ごろから世界の債券市場はずっと高値追いを続けてきた。 先進国の年金マネーが積み上がる一途だったこともあって、債券相場には恒常的な追い風が吹いたまま今日に至っている。 それに同調して、先進国中心に長期金利は傾向的に下げトレンドにあった。
30年も続いた債券高と長期金利の低下現象だが、さすがに ”もうここから先は、あっても限定的だろう” というところまで来た。 一部に早めに降りとおこうとする動きが出てきて、その資金が債券市場から株式市場へとシフトしはじめているというわけだ。
この流れは、いまでこそ小川のせせらぎのようなものだが、すこしずつ大きくなっていっていずれは誰も止められない奔流となる。 債券市場というのは、ひとたび買いより売りが多くなって値崩れを始めたら、崩れが崩れを呼ぶ展開となってしまう。
30年も続いた債券市場の黄金時代が終わるとなると、その資金量の巨大さからいっても相当に長いこと国債など債券価格の下落が続くことになろう。
債券市場から流れ出した資金は、やはりその量の大きさからいって株式市場を置いて行き場はない。 したがって、5年とか10は続く株式シフトとなっていこう。
もちろん、一本調子の上昇相場なんてものはないから、株価も上がっては売られを繰り返しながら右肩上がり相場を形成していくことになろう。
とにかくも株式は買い持ちを基本にして、どこかで利食っても下値では必ず買い増しをしておきたいものだ。 それは、さわかみファンドも同じことで、買い増しを基本に考えたい。