セミナー参加者に確実な変化

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 土曜日は筑波で、 FP 協会茨城支部主催のセミナーで270名、日曜は大阪で東証プラス YOU セミナーで200名弱と、どちらも満杯状態の盛況だった。

 筑波では FP ならびに FP になろうとしている人たちが中心だったから、10年はおろか20年30年の時間軸でお客様に適切なアドバイスをしようよが主題となった。

 長い人生だ、いつどこで何が起こるか知れたものではない。 いろいろなことが起こっても頼りになるような資産づくりを、お客様と一緒に模索していくのが FP あるいはファイナンシャルコンサルタントの仕事である。

 早い話、いくら目先の投資収益を積み上げ、節税策とかをこねくりまわしたところで、ひとたび社会や経済の基盤を揺るがすような大波を食らったら、それこそ元も子もなくなってしまう。

 財産を保全しつつ殖やしていくには、その優先順位というものがある。 第一が戦争に対してだ。 第二がインフレ、第三がいま中東のあちこちで勃発している社会混乱である。 第四第五でようやく景気や金利変動が来る。

 ところが、機関投資家はじめ FP のほとんどは、せいぜい景気や金利動向を意識しつつマーケットにどう対処していくかまでだ。 その想定内で、そこそこの実績を出せばで良しとしている。

 そんな人々の眼前に、インフレの荒波が襲ってきたらどうなるだろう? 長期金利は急上昇し、国債など債券相場は暴落する。 国債を大量保有している金融機関や日銀には巨額の評価損が発生し、マーケットは大混乱に陥る。 大半の投資シナリオや資産アドバイスが根底からズタズタにされる。

 それでは FP の仕事にならないよね、ではどうするか? こんな切り口でセミナーを始めたら、真剣な質問が相次いだ。 長期的な視野に立って、いま何をしておくべきか、やってはいけないのはなにかを、お客様にアドバイスしていく重要性を浮き彫りにできたと思う。

 大阪では企業を応援する長期投資に絞り込んで、30分ほど話をした。 その後の1時間半は、皆さんどんな質問でも構いませんよとテーマを一気に広げてみた。

 驚いたことに、質問の大半が企業を応援することについてだった。 経済なんて人々の毎日の生活と、それを支える企業のビジネス活動で、そのほとんどができてしまう。 そこでの主役は、皆さん一般生活者なんですよ。 このあたりを確認したい、納得感を高めたいといった質問が相次いだ。

 土曜も日曜も、最近のセミナー出席者はずいぶん変わってきたなという印象を新たにした。 目先の投資収益よりも、自分の人生に投資や長期投資をどう位置付けていくかに、彼ら彼女らの関心が移っていっているようだ。

 きわめて健全で、大地に足を下ろした投資文化が根付き始めているのだろう。