この3月末に終わった昨年度の税収入額は46兆9500億円となり、予算での税収見積もりを1.6兆円ほど上回ったとのこと。 うち、個人の所得税は想定を7000億円ほど上回ったが、株式の売却益課税10%が今年1月から20%に引き上げられる前に利益確定しておこうという売りが集中したのも一因である。
一方、法人税は4000億円程度の上乗せしかなかったようだ。 中小企業の業績改善が進まなかったのが要因。 他にも、関税や消費税さらにはたばこ税収も上乗せに貢献したとの報道。
国の税収が増えるのは、それだけ財政赤字を抑えられるわけだから結構なことである。 もちろん、国の借金の積み上がり分も小さめとなる。
そうはいうものの、今年度も96兆円の当初予算に対し、50兆円の税収見積もりで財政赤字幅は46兆円の想定である。 そして、46兆円の税収不足を補うべく40兆円を超す国債発行が予定されている。
ちょっとやそっと税収が増えたところで、日本の財政赤字は解消されないし、国の借金は増え続ける一途の図式は変わらない。 来年の19月から消費税が現行の8%を10%に引き上げられることで、5兆円近い税収増が見込まれるが、それでも追い付かない。
どうするか? 予算を削るのと税収を増やすのを同時進行させるしかない。 年金や医療費など社会保障費が30数兆円予算計上されているが、さてどこまで削減できるものか。 10兆円を超す国債の利払い費は減らすどころか、金利上昇局面を迎えたらむしろ急増する。
残るは一般会計予算の50兆円ほどだが、それを圧縮するのも簡単ではない。 その中には景気対策費も入っているが、それ以上に利権や既得権が複雑多岐に絡んでおり、政治や官庁の抵抗もある。
となると、アベノミクスが功を奏して景気の大幅改善と税収増加を期待するしかない? それが一番であり、景気回復には大いに期待したい。
もうひとつ期待しているのが、再来年から始まるマイナンバー制度だ。 その名称はともあれ、先進国のほとんどが導入している制度で、国民全員の収入状況がコンピュータ把握される。 それによって所得税の取り漏れや生活保護費の不正受給が一掃される。
マイナンバー制度には、年金の受け取り額はもちろんのこと、金融収入もコンピュータ把握される方向にある。 おそらくだが、高齢層の中でも余裕のある人々たちからの税収が案外増えるのではなかろうか。
ここまで書いてきて、やはり日本の財政は綱渡り状況にあると思い知らされる。 どこかで大きなツケが国民にまわされるのは間違いない。
ツケのひとつは増税で、そこでもマイナンバー制度が威力を発揮する。 個人所得税の税率を引き上げれば、一人ひとりの収入状況に応じて公平公正に税収増を図れる。 もっとも、あまりに重税となると個人消費の落ち込みが待っている。
財政破たんの古典的なツケまわしが、インフレである。 もう既に、日銀黒田総裁が2%の物価上昇をなにがなんでも達成させようと突っ走っているが、日銀の財務肥大化は円の信用低下と将来インフレにつながっていく。
増税とインフレに対し、どう自己防衛していくか? 海外資産を持てという人もいるが、彼らは国債バブルの崩壊連鎖を想定していない。 下手な対策を講じるよりも、長期の株式投資が一番安全で頼りになるのは歴史の証明するところ。
その時になれば、さわかみファンドの凄さが広く認識されることになろう。 できるならば、今のうちからさわかみファンドに乗船してもらって、一緒に荒波を乗り切っていきたいものだ。