あなたの預貯金は本当に安全か?

Browse By

 先週の日曜日、大阪で出版記念で2本のセミナーをした。 2本目は圧巻で、出席者の8割以上が若い女性だった。

 どちらも、びっくりするほど大型の書店だったが、店内放送を聞いて飛び入りで参加したという人が50名を超えたのもすごかった。

 おもしろかったのは、2時間のセミナーで、新著「その時、あなたの預貯金は本当に安全か?」を超えて、ごく自然体で長期投資について聞きたいという雰囲気が高まっていったこと。

 というか、「せっかく澤上さんの話が聞けるから、それなら」で、飛び込んできたのだろう。 新著のことなど関係なしに質問が出るは出るはとなった。

 世の中で長期投資への関心は確実に高まっているが、それを見事に実証してくれた。 後は、勇気を出して一歩前へ踏み出すことだ。

 おそらく、日曜日の彼女らも長期投資をやってみようという気になっただろう。 その中で、すぐ行動に移れる人は、さてどれだけいるだろうか。

 いつも話すことだが、国民の多くが長期投資に踏み込んできてくれて、日本の預貯金マネーの5%から10%が動くだけで、成熟経済日本は見違えるほど元気になる。 景気も即座に好転する。

 よしんば、国民の多くがなかなか長期投資に踏み切れないとしても、その気になった人はさっさと財産防衛と自分年金づくりの長期投資を始めるべきである。

 預貯金に置いておいても財産は増えやしないし、いずれ襲来するインフレに無防備もいいところ。 国の年金制度に頼っていては老後生活も危うい。 自分の生活は自分で守るのだ。

 さわかみファンドの実績が示す通り、本格的な長期投資をしていけば、それこそなんとかなる。 たとえ経済が低迷しようが、マーケットが荒れようが、時間の経過とともに財産づくりは進んでいく。

 それこそ、アホらしくて預貯金などやってはいられない。 そこで、「外貨預金なら金利の高いものもあるし、大丈夫なのでは」という質問が、中年のまじめそうな男性から出た。

 わかっていない。 預金の構造からして、絶対に財産づくりにはならないのだ。 考えれば、すぐ理解できよう。

 どこの銀行も預金で集めた資金を企業などに貸し出して、利ザヤを稼ぐ商売をしている。 預金金利と貸出金利との間には、銀行の経費と利益が必ず入って来る。

 一方、銀子から資金を借り入れる企業などは、借り入れコストを上回って稼ごうとする。 それが商品やサービスの価格となっていく。

 つまり、われわれ一般生活者が毎日の生活で支払うコストには、銀行の経費や利益の全額と企業の利益や経費の一部が入っているわけだ。

 そう、銀行預金で受け取る利子というものは、銀行や企業が商売として経費や利益を計上した後の残りカスにすぎない。 これは厳然たる事実である。

 毎日の生活で銀行や企業の経費や利益を上乗せしたコストを支払って、その残りカスを利子として受け取っている。 これが預金の構造であって、海外預金でも同じこと。

 預貯金では財産づくりどころか、毎日の生活で財産は着実に目減りしていくのだ。 80年代までは預貯金の目減り以上のスピードで給料が増えていった。 それで、預貯金は財産づくりとなるといった幸せな錯覚に浸れた。

 それは過去の話。 これから預貯金の目減りは急速に進む。 デフレを解消し、インフレの芽が出てきたら、もう目を当てられない悲惨さに直面しよう。

 ★広告 さわかみグループが支援した映画「ザ・テノール」のDVD発売中! あの感動をぜひもう一度!! http://scpshop.jp/

 ★注意 上記の内容は澤上篤人個人の見解であり、さわかみ投信株式会社の考えおよび「さわかみファンド」の運用を説明しているものではありません。 個人の真意を尊重するため、原則、文章の修正はせずにブログを公開しております。