お客様のための投信? 本当かね?

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 投信に限らず、投資運用というと誰もが即座に投資家顧客のためという。 果たして、その投資家顧客のためというのが、一体どこまでを指すのだろうか?

 ちょっと洗い出してみようか。 先ずは、われわれの身近な日本の投信でいうと、その大半は販売ビジネスのためのものである。 そう、全体で5700本ほど設定されている投信の99.99%は、販売手数料などをがっぽりかせごうとする業者のためのものである。

 その証拠に、毎週月曜日の日経新聞に掲載される「国内の主な投信」という統計をみるといい。 資産規模の大きな順に46本のファンドの基準価額や成績が一覧できる。

 それをみるに、基準価額が10,000円を超えているファンドはずっと10~12本に留まっている。 そのうち、さわかみファンドの2万円超えは別格として、1~2本が1万円台の上の方にあるだけで、残りは1万円ちょぼちょぼの成績でウロウロしている。

 逆に、6,000円台ならびにそれ以下のファンドは22~26本ある。 10,000円で設定されたファンドが、6,000円台なかには2,000円台に落ちているのだ。

 それらが日本を代表する投信だなんて、よく恥ずかしくないものよと憤りさえ感じる。 いっておくが、どれも大手運用会社の看板商品である。

 基準価額低迷の理由に、毎月分配した結果として元本が食われてしまったというのがある。 「分配金を再投資していれば、これこれの成績となっている」と、多く運用会社が説明している。 そんなこと言っても、基準価額が大きく落ち込んでいるのは隠しようもない現実である。

 もうひとつの説明は、高齢者層が毎月の分配金を望むから、それに対応しているのだ。 したがって、顧客のニーズにきちんと応えていると強弁する。

 おかしな論理である。 分配で元本を食いつぶすだけの投信など、そもそも設定しないし販売もしないというのが、投資運用ビジネスに携わる人間の倫理観だろう。

 小遣いにするため毎月の収入が欲しいという高齢者がいても、だからといって毎月分配型の投信をこれでもかこれでもかと設定し販売する人達の気がしれない。

 わざわざ3%近い手数料を払わせて投信を購入してもらい、毎月分配のため税金までも支払うなんて、なんのための運用なのか。 小遣いが欲しい高齢者は投信など買わず、自分の預貯金を少しずつ切り崩していけばいいだけのこと。

 真に投資家顧客のためを考えるのなら、小遣いの欲しい高齢者には投信など買わさせないし、そもそも毎月分配型の投信も設定しない。 そんな倫理観、あって当たり前だと思うけどね。

 投信はもともと小口投資家など、一般生活者に安心して長期保有してもらい、しっかりと財産づくりをお手伝いするのが本来の姿のはず。

 業界が変わらないのなら、この長期投資家日記をはじめとして、われわれが頑張るしかない。 さわかみファンドを先鋒として、本物の長期投資を求める人々を口コミで増やしていくしかない。