今朝の日経新聞におもしろい記事があった。 公的年金や共済、簡保、郵貯などが株式投資比率を高める方向にある。 それに日銀による年間3兆円の ETF (株式上場投信)購入を合計すると、27兆円ほどが日本株市場に投入されることになるという。
それだけ新規の投資資金が入ってくれば、株価全般に対して大いなる支援材料になる。 その期待と、実際の株買いで日本株市場は底堅い動きを続けている。
それはそれで結構なことだ。 なにしろ、日本企業の業績が順調に伸びており、株価の上値可能性は相当に高い。 公的資金にしても年金の運用成績向上にプラスとなる。
おもしろいと書いたのは、それではない。 記事にもあったし、市場関係者のほとんどが公的資金などの買いが終われば、その先の株価は下がるだろうとみていることだ。
さてさて、その読みがどうなるか興味津々である。 自分の読みはいつも長期投資家目線だから、、一般的な下げ予測など無視しており、ずっとずっと上とみる。 理由は、二つある。
ひとつめは、世界経済の回復基調が徐々に加速し、企業の収益動向が上振れすると思われること。 とりわけ、長期投資の対象となる企業群の業績向上は楽しみである。
ふたつめは、個人の預貯金マネーが尻上がりに増加しつつ、陸続と株式市場へ流入してくると考えるからだ。 こちらの流れは構造的であり、昨年後半からの株高と公的資金買いが、じわじわと効いてきている。
構造的? そう、一般個人の間で年金の将来に対する不安感というか、あまり当てにできそうにないという認識が高まっている。 その横で、年0.02%の預貯金利子ではお話にならないというのも共有認識である。
このままではマズイ、何かしておかないと、それには株式投資だろう、といった考え方が意外と広く浸透してきている。 とはいえ、これまで株式投資などしたことないし、リスクが大きいと聞いている。
そんな一般個人の間で、ちょっと試してみたら案外と上手くいったという認識が高まりつつあるのだ。 昨年後半からの株高にも乗って、そういった成功体験が広がってきているのは大きい。 成功体験が口コミで広がり始めると、これからの個人マネーの動向に驚くほどの影響を及ぼすだろう。
なにしろ、年金は当てにできそうにないし、預貯金の利子0.02%など話にならない。 横では、株式投資や株式投信で財産を膨らませ始めている人が増えている。 自分も置いてきぼりを食わないようにしなくてはと、誰もが考えよう。
おそらく、この5年の間に凄まじい雪崩現象が見られよう。 個人金融資産1654兆円のうち、預貯金マネーは815兆円もある。 その5%が株式投資に向かうだけでも40数兆円と、上に書いた27兆円をはるかに凌駕している。 それが現実となっているはず。
10年もしたら、預貯金マネーの10%以上すなわち100兆円ほどが株式シフトしていたということになろう。 これは期待というよりも、歴史的必然と考える。