長期投資しているからこその余裕

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 長期投資は将来こんな社会をつくっていきたい、こんな世の中に住みたいと願う方向に向けて、お金に働いてもらうことである。 具体的には、われわれの願いと同じ方向で経営している企業を熱く応援していくこと。

 熱く応援するといっている以上、すぐ金銭的なリターンを手にしたいとかの気持ちはない。 応援しようとする企業の頑張りに、自分のお金にも手伝わさせてもらうのだ。

 すなわち、株価暴落時など多くの株主がその企業から逃げ出している時には、断固たる株買いで株主になる。 経済情勢や投資環境が好転して株価が大きく上昇していくにつれ、にわか株主が殺到してくる。 そうなったら、にわか株主たちに応援を一時的に任せようと、長期投資家は保有株を少しずつ売りに出していく。

 どこかで、にわか応援団たちが売り逃げに殺到したら、再び長期投資家の出番と断固たる株買に入って行く。 この繰り返しを、長期投資家は淡々と続けていくわけだ。

 結果として、安く買っておいては高くなったら売って利益確定する、投資の基本がごく自然体で実践できてしまう。 それどころか、暴落相場を平気な顔して買いに行くといった、生半可の投資家では絶対にできない行動もやってのけられるのだ。

 どれだけとは決まっていないが、それなりの投資リターンは後からついてくる。 企業を応援しようといって投入したお金が存分に働いてくれて、その報酬とともに戻ってくるのだ。 投入したお金が殖えて戻ってくる、それを投資のリターンという。 

 世に一般的な投資は、とにかく儲けを手にしたいで眼をギラギラさせている銭ゲバである。 運用のプロを自認する機関投資家たちも、われわれの年金運用も、ほとんどが銭ゲバ投資をやっている。

 銭ゲバ投資家たちは、できるだけ短期間に金銭的収益を手にしようとしゃかりきとなっている。 そんな銭ゲバたちがマネーゲームを展開するマーケットにおいて、われわれ長期投資家は時間軸がまったく違う市場参加者である。

 常日頃から、将来に向けてずっと熱く応援したい企業を、継続的にリサーチする。 その中には、生活者ならびに消費者としての立場からの観察も重要な役割を果たす。

 よし、この企業はとことん応援しようと決めたら、後は暴落相場を待つのみ。 いざ暴落局面が到来したら、どんどん応援買いを入れる。 買った後は、のんびりと状況の回復を待つだけだ。

 この応援作業を自分でやるか、さわかみファンドのような本格的な長期投資ファンドにお任せするかは、それぞれの自由。 大事なのは、長期投資し続けるということ。

 さわかみファンドに全部お任せしている自分自身としては、財産づくりも自分年金づくりも、それこそ放ったらかしである。 信じて託してあるから、お金に関してなんの悩みも不安もない。 それどころか、正直言って暇である。

 暇でもて余し気味のエネルギーは、長期投資のセミナーなど啓蒙や仲間づくり、さらには長期投資の先に広がる世界に、どんどん向けられる。 ありがたいことである。

 長期投資の先に広がる世界の一つとして、日本にオペラ文化を広げる財団活動を本格化させた。 オペラの本場イタリアでも最高峰の一つとされる、ボローニャ歌劇団を今年の9月に招へいする契約の調印に、明日26日から出張します。 そのため、次回の長期投資家日記は3月5日になります。

 なお、今夜20時5分からインベスターズ TV で、月2回の生放送があります。 視聴者からの質問にお応えする熱い番組です、どうぞ覗いてみてください。