オペラ財団の仕事で、イタリアはボローニャとローマへ行ってきた。 今年9月の京都、姫路、東京でのオペラ公演とオペラコンサートの正式調印をしてきた。 それと、将来の布石としてローマ歌劇団の総裁ともじっくりと話し合ってきた。
ものすごいスケジュールとなったが、ボローニャもローマも上出来の結果を残せた。 イタリアではオペラがこんなにも大事にされているのかと、改めて感銘を受けるほどに、一つ一つのミーティングは白熱したものとなった。
また、うちのオペラ財団への熱い期待も寄せられた。 それらは、これからオペラ財団の HP を通して、次々と発信されていくことになる。 楽しみにしてください。
それはそうとして、イタリアの経済と人々の生活について、すこし報告しよう。 総じて、よく日本で報道されるユーロ危機もイタリア経済の低迷も、まったくどこ吹く風かといったところである。
町に失業者があふれ、ホームレスがあちこちにたむろしている、そんな風景はどこにもない。 デパートとかを見に行く暇はなかったが、スーパーやその辺りのお店では買い物客で賑わっていた。
レストランでは地元の人々で一杯の店が結構あった。 また、ボローニャからローマへ向かう列車も満席に近かった。 いつもと変わらない経済活動が営まれているのが、あちこちで感じられた。
さらに驚いたのは、ローマの人混みである。 ユーロ安で観光客が殺到しているといった表現をしたくなるほど、市内の大通りはごった返していた。 とはいえ、観光客だけではないことは、聞こえてくるイタリア語ですぐわかる。
一体どこが不況にあえぐイタリアなのかよと、そう反論したくなるほどの賑わいぶりである。 もっとも、好景気に沸き上がっているといった賑わいぶりではない。 いつもと変わらない毎日の生活が、いつも通りに営まれているといった感じだ。
これが経済の本質なんだろう。 どんなことが起こっても、人々の生活は存在するし、そこに経済活動が生まれる。 人はひとたび豊かさを享受したら、もうその生活レベルは下げられない。
この当たり前の当たり前をベースとして、われわれは長期投資を展開する。 それが、どれほど確かなものか。 今回の1週間のイタリア出張でも、長期投資の肝ともなるものを再確認した次第である。