NPO(非営利団体)というと、儲けを追求しない社会性の高い活動と、一般的には理解されている。
本当のところは違う。 NPOは社会的な活動を通して、いくらでも利益を追求していいのだ。
ただし、その利益は株主とか出資者に還元されず、全額がNPO活動の持続的発展にまわされる。
どのNPOへの出資者も、配当といった利益還元は求めず、あくまでも非営利活動を展開するために資金を拠出するわけだ。
さわかみグループの株主も、やはり配当などでの利益分配は求めず、得た利益の全額をグループ各社の事業拡大に再投資している。
その点ではNPOと似ているが、実体はNPO活動とは、まったく別の方向性を持っている。
つまり、さわかみグループでは3つの財団を除いて、いずれもバリバリの営利団体である。
さわかみ投信をはじめとして、7社は一般の事業会社と同じで、しっかり売り上げを立てて利益もいただいている。
グループ各社は、それぞれ事業を経営しているから、ある程度の利益は稼がなければならない。
でないと、頑張ってくれている社員への給料はもちろん、税金も払えない。 将来成長に向けての投資も欠かせない。
とはいえ、7社ともビジネスの世界ではあるが、先ず最初に利益ありきでガツガツと儲けを追求してはいない。
とにもかくにも、世の中に喜んでもらって、自然体で大きくなっていくようなビジネス展開をしているのだ。
さわかみ投信でいうと、25年前の設定時、信託報酬を1%(税抜き)に定めたが、ものすごく悩んだ。
本格的な長期投資、それもアクティブ運用のファンドでは、信託報酬が2%台後半から4%ぐらいが世界の常識だった。
それに対し、一般生活者の資産形成をお手伝いするといって立ち上げた、さわかみファンドだ。
できるだけ信託報酬を低く抑えたい。 それでもって、2%分でも3%分でも投資家顧客の財産づくりに寄与できる。
直販の投信でいろいろ費用は掛かるが、信託報酬を1%に抑え込んだ結果、10年ほどは赤字経営を余儀なくされた。
だが、より良い世の中をつくっていく方向で事業を展開しているのだと、歯を食いしばって頑張り抜いた。
おかげ様で、いまは余裕のある経営となっているが、投信の利益の大半は財団活動などグループ事業にまわっている。
近年は強欲資本主義の弊害とかいわれるし、金融資本主義で格差拡大が世界的に大きな問題となってきている。
それらに対し、ガツガツ儲けようとはしないが、世の評価でもって大きくなっていっているビジネスは、これからどんどん見直されるだろう。