昨日から消費税が8%に引き上げられた。 さらに来年からは10%になる方向にある。 それで驚いてはいけない。 欧米先進国の例を見るに、消費税など間接税は20%あるいはそれ以上の水準が一般的である。
日本の消費税も、いずれは15%とかそれ以上に高められる可能性は大有りだろう。 間接税の比率を高める代わりに法人税は所得税を引き下げて、企業や個人の経済活力を引き出させようとするのは、成熟経済のどこでも避けて通れない政策である。
ちなみに、 EU 諸国での法人税は20%半ば以下である。 米国でも法人税の大幅引き下げが検討されている。 国家財政の財源は間接税を中心にして、国民に広く薄く税負担を求める。 一方で、企業や個人の富を創出する意欲を促進させて、経済活力をなんとか高めようと懸命なのが成熟経済のどこでも共有の課題なのだ。
ひるがえって日本では、まだ高度成長期の余韻を引きずっているのか、成熟経済下での経済政策というものへの意識が薄い。 その結果、日本経済全体がズルズルと地盤沈下していくは、財政赤字が急膨張するはで将来不安ばかりが高まっている。
それなのに、アベノミクスや黒田金融緩和でもって日本経済を活性化しようでは、小手先の対応ぐらいの効果しか期待できない。 予算のバラ捲きと日銀の国債大量購入は、いずれ大きなツケとなって国民に降りかかってこよう。
どこまで政治ができるか知れないが、一刻も早く経済運営の方向を大転換し、世界最速で高齢化が進む成熟社会での経済運営モデルを確立しなければならない。
第1に、年金など社会保障費は財源を消費税あらため社会保障税、つまり間接税からとすっきりさせる。 国民の老後を国民全体で広く薄く負担するとなれば、透明性は高いし世代間の公平性も確保できる。 それでもって、社会保障税の15%ないし17%への引き上げだって早急に実現し、年金不安を一掃してしまおう。
第2に、年金問題は先進国共有の悩み。 できるだけ早い段階で年金の社会保険積立て制度を廃止し、国民均等の年金を社会保障税からの給付に切り替えよう。 これまで年金を積み立ててきた人たちの分は計算して上乗せすることで、不公平さは発生させない。
これでもって、公的年金の積み立てや運用にかかわるコストの大半は削減できる。 同時に現有の積立て資産180兆円ほどは逐次現金化していき、それを国庫に算入することで国の借金を減らす。
第3に、一般財源は法人税と所得税つまり直接税に一本化させる。 社会保障費を切り離すことで、一般予算の透明化は否応なしで進む。 法人税の引き下げや所得税減税も、一般予算との見合いで進められる。
第4に、租税特別措置法は原則廃止するのと、各種補助金は5年間で均等に切り落としていく。 これでもって、利権や既得権がらみの税ムダ遣いを大幅に削減する。 その分を法人減税にまわして、広く起業を促すと同時に既存企業の適者生存を徹底させる。
第5に、2016年から施行のマイナンバー制度では、個人のあらゆる所得はじめ金融所得もすべて網羅してコンピュータ把握させる。 それでもって、国民への公平なる徴税と年金給付がコンピュータ化できるし、生活保護などの支給も公正になる。
第6に、 NISA (小規模投資非課税口座)を本格的な長期投資減税にし、毎年の投資額100万円の上限も撤廃する。 具体的には、7年以上保有した投資分はすべてキャピタルゲイン税を免除することで、国民の預貯金から長期投資へのシフトを促進させる。
これだけ全部を一挙に実施すれば、5年もしないうちに日本経済は見違えるほどに活性化するはず。 年金不安も一掃できるし、財政赤字も大幅に削減あるいは黒字化も可能となる。 そうなってくると、国債の暴落不安もさけられるだろう。
逆に、なにもしないままズルズルいくと、泥沼に沈むスピードはどんどん加速するのだろう。 ここは政治家だけでなく、国民全員がしっかり考え、一部の反対を押し切ってでも断固たる行動に移る時である。