整理して考えよう

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 世の中では、いろいろなことが起こっている。 一つ一つの現象をああだこうだ議論したり、いろいろ起こることを現代社会の病だとかいって、さらっと流してしまうとますます分からなくなる。

 すこし整理してみよう。 先ずは、貧富など社会的な格差の拡大。 それを、市場主義経済の行き過ぎが弱肉強食を招いているとか、資本主義の末期的な現象だとかいう向きも多くなっている。

 じつは、20世紀初頭にも似たような現象が起こった。 それが、1917年の社会主義革命につながり、ソヴィエト連邦の発足となった。 計画経済で公平な社会を築いていこうとしたわけだ。

 その壮大な歴史的実験は74年で幕を閉じた。 社会主義を標榜した国々では、経済の非効率と慢性的な停滞により、国民一般の生活はなかなか良くならなかった。 その横で、特権階級がどんどんはびこっていった。

 ソ連の失敗を反面教師にしているはずの中国でも、貧富の格差は猛スピードで広がっている。 共産党による一党独裁政治の基盤も、じわじわと揺らぎ始めている。

 資本主義もダメ、社会主義もダメときたら、どうすればいいのか? スウェーデン・デンマーク・ノルウェーの北欧3国に学ぶ点がある。

 1960年代に社会福祉路線を突っ走った北欧3国は、成長よりも社会的な不公平をなくすことに力を注いだ。 しかし、70年代半ば頃からは経済の低迷のみならず、世界の成長にも乗り遅れ気味となり、社会福祉路線の維持すら難しくなった。

 長いこと苦しんだ中で、北欧3国は市場主義経済のダイナミズムを取り入れた経済体制をつくり上げていった。 企業には適者生存と優勝劣敗の原則を徹底させて、グローバル競争にもついていけるようにした。

 一方、適者生存の企業間競争から生じる失業者には、税金でもって手厚い職業再教育を施すことで社会復帰を促す。 それによって、社会的な弱者の発生を抑えていく。

 よくいわれるように、北欧3国の税金など社会負担は図抜けて大きい。 しかし、税の使い道が透明でかつ国民の納得のいく方向にあり、ここにも社会的弱者への配慮が優先されている。

 税の使い道が透明で公正だということは、利権や既得権がはびこる余地を極力なくすことにつながる。 つまり、特権階級の跋扈を根っ子から切り落とすわけだ。

 そう、資本主義的な競争による効率の追求と、市場主義経済が常に問う優勝劣敗と適者生存のダイナミズムは、もっともっと発揮させていい。 なぜなら、国の関与は公平公正なルール作りと、その徹底に限定されるから国家運営も効率的になるのだから。

 国民全般に自由なる富の追求を促す一方で、高所得層への税負担は重くすると同時に、付加価値税(消費税)による国民負担も高める。 それによって経済成長率を高め、大幅に増加する税収でもって失業者の社会復帰を促進するなど、社会的な弱者への配慮をどんどん分厚くしていく。

 その過程で重要になってくるのは、税の使い道を透明にしていくことであり、その徹底こそが民主主義の原点となる。

 他のテーマも書きたいが、今日はここまでとしておこう。

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