日本の投信と、さわかみファンドの実力

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 日曜日の日経新聞には、国内の主な追加型株式投信の運用成績という一覧表がある。 先週末の一覧表をじっくり眺めてみると、なかなかおもしろい。

 掲載基準は2014年9月19日時点の純資産残高上位の銘柄( ETF 、株価指数連動型投信などは除く)となっており、その上位46本の直近の成績を並べてある。

 うち、さわかみファンドは27番目に純資産が大きいファンドとしてランクされている。 日本株主体の上位ランクインは2本だけで、残念ながらそこでは2番目の地位に甘んじている。

 驚かされるのは、純資産残高上位ランクのほとんどが海外運用をベースにした毎月分配に代表される、分配ものの投信ファンドであることだ。

 元本を取り崩しながら分配を重ねているから、どのファンドの基準価額は悲惨なほど低い。 ちなみに、どのファンドも基準価額1万円で設定されたはずなのに、半値の5000円台ないしそれ以下が11本もある。

 さらにいうと、基準価額が1万円を超えているファンドは、たったの11本しかない。 うち3本は設定額の1万円をわずかに上回っているだけのこと。

 なんともお粗末な成績のファンドが、日本を代表する投信として並んでいるのだ。 これをみて、投信関係者のみならず社会全般に何の違和感も抱かないというのが、どうにも理解できない。

 この惨状をして、日本では投資家に受け入れられているのだから、それはそれで構わないだろう。 そう強弁するのは自由だが、本当にそれで将来があるのだろうか? とりわけ、投信関係者はそれで飯を食っていけると思っているのだろうか?

 高齢者層は毎月の小遣いが欲しいから、元本が減っても分配を期待するという。 しかし、そんな日本的事情はいつまでも続かない。 金融資産をたっぷり抱えている高齢者層は、これから順次それぞれの人生を終えていくのだから。

 そんな中、さわかみファンドは輝いている。 なにしろ、基準価額は唯一2万円を超えている大型ファンドなのだ。 設定来15年と4カ月で年率の成績は4.7%強と、いまいちの感があるものの、デフレ経済下では立派なものである。 ちなみに、平均株価に対しては軽く2倍の成績差となっている。

 信頼し安心して長期の財産づくりを託せるファンドとして設定されたが、その道を着実に歩んでいっている。 気がついたら、実力を備えた日本を代表するファンドに育ってきた。 まさに、投信本来の姿を実践しているといえよう。

 ここから先も、ずっと本格的な長期投資運用を続けていくだけのこと。 いつの間にか、3万円そして5万円の基準価額に挑戦していくことになろう。 どこかで純資産額は断トツの最大ファンドとなっていよう。

 さわかみファンドの自慢? 違う。 本物の投信というのは、本来そういうもの。 多くの投資家の信頼が集まって来て、大きくなっていくのが当たり前なのだ。