直販投信の歴史的な役割

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 昨日はコドモファンドの紹介をしたが、それをもう少し広げてみよう。 直販投信がこれから果たす役割というものを、今日は皆さんと一緒に考えてみたい。

 さわかみグループ事業のひとつに、 investor’s TV というネット報道がある。 これは、コマーシャルなど商売的なものは一切なしで、世の中の本物を発掘して広く伝えたいという目的で、3年前から放映しているもの。 その番組の中に、伊藤宏一先生による ”誰も教えてくれない日本金融史” がある。

 誰も教えてくれない日本金融史を観てもらったら、”そういうことだったのか” と、みなさんきっと驚くだろう。 日本人が当たり前のように受け入れている貯蓄信仰が、実は明治以来の国の政策に乗ったものであるのだ。 国民のお金は1円の無駄もなく吸い上げて、産業資金にまわそうという政策の根っ子に、貯蓄信仰を位置付けた。 その功罪というものを、番組では歴史を追って検証してくれている。

 貯蓄信仰で銀行や郵便局の窓口に吸い上げた国民のお金が、明治期の殖産興業と富国強兵政策の原資となり、戦後復興時には傾斜生産方式を皮切りとした経済建設の資金源となっていった。 これを、間接金融による経済運営というが、日本経済の発展に大きな役割を果たしたのは間違いない。

 しかし、すべて国が差配する間接金融で経済を運営していくという政策は危険である。 その一つが、戦時中の統制経済だったはず。 もうひとつが、世界第2第3位の巨大規模となった日本経済を御していくのは、無理と非効率の巣窟になるということだ。

 伊藤先生の番組でも、江戸時代とか戦前には直接金融的というか各地方でのローカルなお金の流れが活発だったことに驚かされる。 なにもかも預貯金にして、後は国まかせといった貯蓄信仰が定着するまでは、自分のお金を身近なところでまわしていくという発想が庶民の間では当たり前だった。

 成熟経済となって久しい日本で、経済らしいダイナミズムがなかなか湧き上がってこない。 そのひとつには、個人のお金の流れが預貯金中心に保険や年金といった方向ばかりに偏り、きわめて硬直的であるからだ。

 この偏ったお金の流れを断ち切るとまではいかなくとも、できるだけ広げてやろうということで生まれてきたのが直販投信である。 個人個人に、自分のお金を自分の意思と思いそして夢に乗せようじゃないかと訴えて、誰もが1万円から参加できる金融商品を世に出した。 ビジネス収益は後回しにして、ともかくも個人一人ひとりが日本経済の活性化に直接参加していける器を提供しようとしてのこと。 

 日本で直接金融のお金の流れを広げ、どんどん流れを太くしてやろうということで立ち上がった直販ファンドは、すでに13本となった。 日本の金融を変えようと熱い情熱の個人や、生活者の代表としての主婦、高校の先生方、労働組合や1部上場企業といった具合に、多種多様のベースを持った人々が思い思いの直販投信を立ち上げている。

 それでいて、根っ子は同じ。 一般生活者が安心し、信頼して長期の財産づくりを託せるファンドを提供し、投資家仲間と一緒に長期投資で良い世の中をつくっていこうというところでは一致している。

 多種多様な人々が集まって、みなが安心して暮らしていける社会を築いていこうとする目的は同じ。 これぞ直接金融だよね。