株価がこれだけ上がってくると、株式投資をしている人はもちろんのこと、投資なんて考えたことのない人も、株式投資への関心が否応なしに高まる。 書店には、株でこれだけ儲けた類いの本がずらずらと並ぶ。
そういった時は、経験則的にいうと、相場が過熱段階に入ってきたひとつのサインとなる。 猫も杓子も、急いで株を買わなくっては、ここで買わなかったらいつ買うのだと、そわそわし出す。
相場特有の熱気に襲われると、なかなか冷静な判断ができないのが人情というもの。 そこそこ投資してきた人たちは、もっと儲けたいという欲望がグングン膨れ上がっていく。
怖いとか何とか言って上昇相場に乗れなかった人たちは、置いてきぼりを食らった焦りもあって、一刻も早く買わなくってはとなる。 だから、投資本や株式投資の極意とやらが、書店に所狭しと並ぶわけだ。
われわれ長期投資家は、そういった熱気をニヤニヤと眺めていられる。 なにしろ、こちらはアベノミクスの始まるずっと前から、資金のありったけを投入して日本株を買ってきている。
みなが青い顔してリスクがどうのこうの言っている間に、「なにを言っているの、生活者に大事な企業は逃げも隠れもせず頑張っているではないか。 ここは、断固として応援だ」で、これはと思う企業の株を目いっぱい買ってきた。
その果実が大きく実ってきただけのことで、乗り遅れ感などない。 むしろ、どのあたりから利益確定の売りに入っていこうかと余裕たっぷりである。
さて、ここからはどんな戦略でいこうか? 株式市場を見渡すに、しばらく前までは青い顔して売っていた連中が大慌てで買ってきている。 彼らは株価を追っかけるだけだから、上昇相場が止まれば即座に売ってくる。
彼らはしょせん株価応援団にすぎず、企業を応援しようなんて気はさらさらない。 とはいえ、そういったにわか応援団がガンガンに買ってきているのだ。 ここは一時的に応援(?)を彼らに任そうで、薄く薄く売り上がっていってもいい。
どうせ、彼らにわか応援団は株価がちょっと下がれば、すぐさま眼の色を変えて売ってくる。 そこで、長期投資家は再び出番が到来したと、おもむろに応援買いに入ればいい。
その心構えを守っていれば、上昇相場の熱気に煽られて高値つかみをしていまう愚を犯すこともない。 安く買っておいて高くなったら売る、長期投資のリズムも守れる。
いっておくが、さわかみファンドのような長期保有型の投信は、そういった作業を全部やってくれる。 だから、ゆったりと乗っかっていればいい。
ともあれ、長期的な株価上昇トレンドは、まだまだ続く。 たとえ、アベノミクスとかが失速したとしても、債券から株式への30年ぶりの資金シフト、グレートローテーションはまだ始まったばかりである。
長期投資家が見据えておくべきは、グレートローテーションといった歴史的な資金の動きである。 だから、われわれ長期投資家は目先きの相場変動はどうあれ、「全体方向は買い」の姿勢を崩さない。