長期金利の上昇は想定通り

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 欧米市場そして日本で長期金利が、ポンと跳ね上がった。 それをみて、各国の株式市場には緊張感が走っている。 緊張感とまではいかなくとも、一瞬身構えた投資家や市場関係者は少なくない。

 最近の株価動向を見るに、各国の中央銀行による大量の資金供給を受けた「ジャブジャブ相場」の様相を強めていた。 それに水を差すのは、ジャブジャブ資金の引き上げであり、そのサインが金利上昇である。

 投資家や市場関係者はここまで、金利上昇の気配が微塵もないのを良いことにして、株式市場に買い参加してきた。 それが暗転するサインが出たのだ。

 今回の長期金利の上昇が一時的なもので終われば、株式市場には再び買い気が戻ろう。 しばらく金利上昇が続くとなると、調整局面に入るのは避けられない。 どう転がるかは神のみぞ知るところ。

 われわれ長期投資家は、なにも慌てることはない。 どちらに転がっても構わない。 再び上昇相場に入っていくのなら、保有株の評価額が増加するのをニヤニヤと眺めていればいい。

 調整相場に入るのなら、大きく下げたところをていねいに買い増ししていくだけのこと。 なにしろ企業業績はまだまだ向上していく方向にあるし、金利上昇で困る企業はそもそも投資対象から外しているのだから。

 投資対象から外している? そう、先進各国中央銀行による大量の資金供給も、それを支える大量の国債発行も、金融バブル崩壊に対処するためとはいえ尋常な政策ではない。 経済活動の正常化ともに、必ずや反動が予測される。

 その反動は、長期金利の上昇や国債価格の下落となって表面化する。 もうひとつは、インフレの到来かスタグフレーションに突入だ。 そういった展開となって困るであろう企業群は、いくら目先の業績が良くても投資対象から外す。 それが長期投資である。

 そう、いつでもどんな時でも、10年ぐらいの間に起こりうるリスクはすべて削ぎ落とす投資対象の絞り込み作業を怠らない。 その上で、マーケットの価格変動に真っ正面から立ち向かうのが長期投資である。