米国ではよく、ミスター・マーケットとは付き合うなといわれる。 ミスター・マーケットとは、相場動向をみて儲けたい損したくないと反応したくなる投資家自身の心理をいう。
そいつは株価が上昇気味だと、早く買わないとチャンスを失うよと誘いをかけてくれる。 下落相場ともなると、とにかく売って損失を最小限にしようと、耳元でささやいてくれる。
そういったミスター・マーケットと仲良くすればするほど、日々あるいは時々刻々の株価動向に右往左往することになる。 株価を見ては買おうとなったり、売りを急いだりしだすと、もう冷静な投資判断などどこかへ消えていく。
海辺に寄せては返す波のように、ただドドッと上げてきたりザワザワと引いていったりを延々と続ける。 そんな投資をやってはいけないよという教訓である。
こう書いてくると、みなさんのほとんどは「その通りだ」と、すなおに同調してくれる。 それでいて現実はとみるに、結構ミスター・マーケットの影を引きずっているのでは。
たとえば、今日の英国での国民投票がどちらに軍配が上がるのか、2週間後の参議院選挙はどう出るかなど、多くの投資家は大なれ小なれ気にする。 それが株価などマーケット動向に反映されている。
たしかに、多くの投資家は自分はミスター・マーケットとは付き合わないぞといっている。 しかし、英国の国民投票や参議院選挙がどう出るかを意識している段階で、もう既にミスター・マーケットが忍び寄っているのだ。
それは、この2~3週間の株価動向が下落気味だったところにも、はっきりと表れている。 売りを仕掛けた連中は、投資家の間に見え隠れするミスター・マーケットを突っついて売りを誘った、そんな展開だろう。
われわれ長期投資家は、いつもマーケット動向など横眼で見ている程度。 なにかの理由で大きく下げれば、あれこれいわずに買いを入れるだけのこと。
英国がEUを離脱しようが残留しようが、参議院選挙がどう出ようが、世界中の人々の生活は続く。 それを支える企業活動も一時として止ることはない。 なのに、株価は大きく下げたり上げたりする。
そこを、マイペースで安ければ買い、高ければ売っていくを淡々と繰り返す。 キーワードは、これはと思う企業をトコトン応援していくぞという熱い意思だ。
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