参議院選挙の舌戦が始まった。 どの政党も生活者が安心して暮らせる社会とかの建前を訴えているものの、実体は票集め議席増のためには何でもありといったところだろう。
票集めとなると、有権者の関心が高い方向で甘い話を並び立てるのが常道である。 その中でも、アベノミクスの是非が一つの焦点となろう。
デフレ克服や景気回復はさっぱり進んでいないではないかと野党は突っつく一方で、政府与党はアベノミクスは着々と成果をあげつつあるという。
昨日も書いたように、日本の失業率は先進国でも断トツに低い完全雇用状態にある。 これ以上の景気対策を進めると、労働力の不足という足かせがついてまわる。
つまり、完全雇用に近い日本経済においては、どう頑張っても成長率を高められないという構造的なネックが横たわっているのだ。
どうしたら成長率を高め、デフレを克服できるのか? 国民の間で将来への不安が高まっており、どうしても預貯金を抱え込んでしまう。 それが消費を低迷させる最大の要因である。
年金はじめ老後の生活不安を一掃してやれば、国民はGDPの1.7倍にも達する、839兆円といった途方もなく巨額の預貯金を抱え込むことはなくなる。
家計の預貯金839兆円のたった2%が消費にまわるだけでも、日本経済は3.4%の成長をしてしまうのだ。 3.4%成長に対し供給力が不足すれば、物価は上昇しデフレ克服もあっという間である。
では、どうやって将来不安を一掃するか? 65歳とか70からの高齢者は誰でも、一律平等に月20万円の年金を受け取れるようにする。 その原資は消費税を改めた社会福祉税あるいは年金税とし、税率を17%ほどに高めて賄う。
現在年金を受け取っている高齢者は、その金額を上乗せして将来にわたって受け取る。 ここまで年金を積み立ててきた現役層は、積立てた分を将来の年金に上乗せされる。 そこで生じる一部の高齢者の過剰所得は、マイナンバー制度の徹底で公平に徴税すればいい。
こうしてやれば、国民の間で年金に関する一切の不安も不平等感もなくなる。 つまり安心して老後を迎えられるから、これまでのように預貯金を抱え込む必要はなくなる。
もちろん、毎月の年金積立てといった個人負担は不要になるし、厚生労働省はじめ年金積立管理運用機構などの諸コストは大幅に削減できる。
また、現有の公的年金の積立て金は全額を国庫に算入することで、国の借金や国債発行残高のかなりの分を相殺できる。 当然のことながら、年金の運用はなくなるので評価損とかの問題は2度と発生しない。
これだけやってしまえば、財政の健全化に向けての道筋も見えてくる。 つまり、将来への不安というものが消えてなくなり、それだけ現在の生活に余裕ができるわけだ。
このように、年金や財政の不安を一掃することで、国民は安心して預貯金を崩すことができ、それが日本経済の活性化につながっていくのだ。
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