公的年金の株式運用(前篇)

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 【注意】下記の内容は澤上篤人個人の見解であり、さわかみ投信株式会社の考えおよび「さわかみファンド」の運用を説明しているものではありません。 個人の真意を尊重するため、原則、文章の修正はせずにブログを公開しております。

 昨年、公的年金の株式運用幅を大きく拡大した。 公的年金の株式投資積極化を囃して、株式市場は上昇基調で推移した。 それで、公的年金の運用評価益も積み上がり、上々の滑り出しとなった。

 ところが年が明けてからというもの、中国リスクなどで株式市場は暴落を繰り返している。 それもあって、公的年金の株式運用で大幅な評価損がでているといった報道が頻繁になされる。

 それを待ってましたかのように、公的年金が株式運用でリスクを取るのは如何なものかといった、昔からの反対派意見が出てきている。

 反対派は、とにもかくにも株式などでの投資リスクは相成らぬという。 そして、現金運用や債券投資で安全に行くべしと主張する。

 彼らのいう債券投資なら安全とは、国債を中心に満期まで持ち切れば、元本は戻ってくるし保有期間の利金収入は確保できる。 だから、安全な投資だとなる。

 それは、日本経済が高度成長を続けており、国内の金利水準が6%とか8%だった頃の話である。 せいぜい、1980年代の初めまで通用した運用論である。

 当時は、年金運用は年5.5%の利回りを目標にしていたが、債券の満期まで持ちきり運用(?)で十分に運用責任を果たせた。 それどころか、年5.5%を上回った運用益は余りということで、年金保養施設などの建設に向けていった。

 そういった古い年金運用の考え方は、90年代に入ってからというもの、まったく通用しなくなった。 日本が超低金利そしてゼロ金利政策に踏み切ったため、債券運用での利金収入が激減した。

 年金の運用利回りも大幅に下がった。 そこで、株式の運用制限を緩和しようという流れになってきたわけだ。 それでも、反対派はぐずぐず言っていた。

 そして、年明けからの運用不振で、公的年金の株式投資は如何なものか論が、またぞろ出てきているわけだ。 いつでもそうだが、株式投資はリスクが大きいで凝り固まっている人たちにつける薬はない。

 運用先進国の欧米では、よほどの運用制限がない限り、年金などの長期運用資金では株式投資中心でいくのが常識である。

 長い投資経験から、株式投資が長期的には一番成績が高いことが実証されている。 だから、誰も何の反対もしない。 むしろ、こんなマイナス金利下では、債券投資のリスクを真剣に検討しなければという姿勢だ。

 さて、公的年金の株式運用に戻ろう。 株式投資の比率を現行目標の25%を超えて、さらに上げるのは一向に構わない。 むしろ、将来の国債値下がりリスクを考えたら、思い切って70~80%ぐらいにまで高めてもいい。

 ただし、運用の方法や姿勢は、大きく変える必要がある。 それは、明日書こう。