1億総活躍社会と長期投資減税

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 アベノミクス第2弾として、1億総活躍社会というスローガンが掲げられた。 先ずは企業に頑張ってもらい、次に国民も経済活性化に積極関与するという図式を描いている。

 これから、その具体案が提示されることになるのだろうが、今度こそは官僚や識者による作文に終わらないことを期待しよう。

 是非とも提案したいのは、「お金にも働いてもらう」という図式を盛り込むことだ。 826兆円にも達する個人の預貯金マネーの5%でも10%でも、長期投資を通して経済の現場に投入させられたら、それだけで日本経済は大いに活性化する。

 具体的には長期投資減税を実施すること。 現行のNISA (小規模投資非課税口座)は5年だけのものであり、非課税というメリットを享受するためには、株式や投信の短期売買を誘ってしまう。

 それでは、個人に投資マインドを高めさせるきっかけづくりにはなるが、経済の活性化にはいまいちつながらない。

 大事なのは、預貯金に眠る個人マネーを経済の現場に長期的に滞留させること。 5%なら41兆円、10%なら82兆円が、長期投資で経済の現場に流れ込めば、すごい経済成長要因となる。

 銀行の預貸率が70%の下の方に長年へばりついていることからも、預貯金にお金が集まり過ぎである。 預貯金の10%程度が流出する経済全体へのマイナス要因には目をつむったところで、プラス効果の方がはるかに大きくなるだろう。

 経済全体でみると、預貯金にぼやーっと眠らせている個人マネーが、生きたお金として活用されることになっていく。 なにしろ、年0.02%の富(利子収入)しか生まないところに、日本経済の1.7倍の規模の個人マネーが眠っているのだ。 それを生かさない理由はない。

 その長期投資減税とは? もうずっと前からの繰り返しとなるが、今日からの株式や株式投信購入に関しては、7年以上保有すればキャピタルゲイン課税をゼロにするだけでよい。 既に保有している株式や株式投信も、今日から先7年たてばゼロ課税の適用を受ける。

 こうしてやれば、株式や株式投信の売却は大幅に抑制される。 ということは、少なくともここから7年間は株価が下がる懸念が薄くなり、むしろ新規の株式購入が急増する。 それも長期保有を前提とした個人マネーが大量に株式市場へ流入する。

 株価全般はすごい勢いで上昇トレンドを追い、その心理効果や資産効果が個人消費や企業の投資を活気づけるのは間違いない。 もちろん、新しい産業は続々と生まれるし雇用も増える。

 日本経済は600兆円どころか、700兆円800兆円へと拡大していく。 税収も大幅に増加するから、長期投資減税で得べかりし税収入などいくらでもカバーできる。

 本当に、そう上手くいくのだろうか? 大丈夫、必ず上手くいく。 先ず、今日から7年間保有という縛りが、株価全般に岩盤のような下支え効果をもたらす。 それが、新規の株式購入を促進させるから、株価は上値を追いやすくなる。

 次に、株価が力強く上昇トレンドを辿れば、個人マネーはどんどん株式市場に向かいはじめる。 それが一層の株価上昇と、個人マネーによる新規購入の増加につながっていく。 なにしろ、預貯金に置いておいても資産はさっぱり殖えないし、年金の将来も当てにできそうにないのだから。

 日本の預貯金マネーが陸続と株式市場へ向かい出すと、それに安心して海外からの日本株買いも拍車がかかる。 同時に、売りを仕掛ける連中は下手なことができなくなる。

 気がついたら、株価水準も大きく居場所を変えており、預貯金からシフトした個人マネーは大満足で、もっともっと長期投資にということになっていく。