まだ株価は下がりたいらしい。 まあ、こういうことは大きな上昇相場の調整過程でよくあること。 一部に悲観論も出てきているが、いつの下げ相場でも出てくる「お化け」みたいなもの。
一時の悲観心理から出てくる「お化け」に幻惑されるよりも、歴史から学ぶ方がよほど賢明であろう。 とはいえ、こんな下げぐらいなら、自分の44年強の世界市場での運用経験を持ち出すまでもない。
さわかみファンドが、もう既に立派なモデルを世に示している。 それを振り返るだけで、「この下げは局面は、とにかく買っておけ」となる。
この16年間に、2度も暴落相場を乗り切ったというよりも、さわかみファンドは暴落相場を機に大飛躍の布石を打った。
2002年から2003年の4月にかけて、銀行の不良債権処理が半強制的に進められ、株価全般は1982年の水準にまで大暴落した。
株式市場には売り物であふれかえっている中、さわかみファンドはゴキゲンで買いまくった。 ありがたいことに、多くのファンド仲間から軍資金がどんどん届けられたから、日本が世界に誇る製造業を中心に最高のバーゲンハンティングを続けた。
基準価額は数日間だけ屈辱の8000円割れを記録したものの、「ここは成績に眼をつむってでも、応援買いだ」を貫いた。
その成果が、2007年の7月に向けての基準価額20,000円超えである。 他の運用会社を圧倒する成績を上げたわけだ。
ところが、2007年8月のサブプライム問題、2008年9月のリーマンショックを受けて、株価は再び暴落した。 2009年の3月には不良債権処理時よりさらに下値にまで売られる大暴落となった。
この時は、ファンド仲間からの軍資金はそこそこあったが、下げの幅と期間が前回以上だったこともあって、さすがに細り気味だった。
それでも下げがきつかったから、仕方なく「ごめんなさい売り」を断行して、大きく売り込まれていた企業の株式をどんどん買い増しした。
ごめんなさい売り? そう、あまり株価が下げていなかった企業の株を売らせてもらったのだ。 もっとひどく下げている企業を応援するために、ごめんなさいだ。
本当は、もっともっと新規資金の流入が欲しかったが、さわかみファンドはまだ力不足だった。 あの時点で、2000億円とか5000億円の資金があれば、もっとすごい応援買いができるのにと切歯扼腕した。
ともあれ、リーマンショック時の買いが、今年の基準価額23,000円超えにつながった。 たらればをいうと、2013年から14年にかけての1000億円を超す解約売りがなかりせば、2012年末からの上昇相場を満喫して基準価額は軽く28,000円ぐらいまで上昇していたと思われる。
このように、下げ相場をしっかり買っておくからこそ、さわかみファンドは他を圧倒する成績を残してこれたわけだ。 常日頃から企業リサーチに力を入れて、銘柄の選択さえしっかりできていれば、暴落相場を買わない理由はない。
そんなわけで、ここは長期投資家の真骨頂発揮の時、資金のありったけを投入して買っておきたいところ。 さわかみファンドにも、5000億円とか1兆円ぐらいの新規資金が入って来てくれたら、日本にとって大事な企業を強力に応援できるんだけどね。