今週前半までの凄い下げが、一転して急ピッチの戻りに入ってきた。 とりわけ、NY 市場の戻りはすさまじい。
これは、その日の売りはその日のうちに出させてしまうという、マーケット本来の役割を重視している、NY 市場らしい値動きといって良い。
どういうことかというと、日本ではストップ安とかストップ高という値幅制限があって、その日の下げの下限や上昇の上限を決めている。
ストップ安の値幅が決まっていると、先週から今週にかけての暴落相場でも、今日の下げはこの価格までとなり、その価格までの買いが入っている分だけしか売れない。
ということは、その日の売買が終わっても、大量の売り注文が残る。 そして、まだ売り物がどれほど残ってているかの目処が立たない。
そういった不透明な状況で翌日の売買が始まる。 まだ売り物が大量に残っているから、相場はどんどん下がっていく。
それをみて、おそらく今日もストップ安まで行って相場は引けるだろうと皆が読む。 当然のことながら、そろそろ買ってもいいかなと考えている投資家は、どうせ今日も大量の売れ残りとなるから、買いは明日以降のもっと安いところにしようとなる。
その悪循環で、暴落後の相場はズルズルと下げ基調を続ける。 下げがだらだらと続くが、買いはなかなか入ってこない。 それを底練り相場という。
ところが、NY 市場ではストップ安という値幅制限がないから、暴落相場に脅えた売りが出尽くすまで、その日の相場は下がり続ける。
売り物が出尽くすと、すこしの買いで相場は上昇に転じる。 もう売りは出尽くしたから、戻りは早い。 それを知っているから、暴落相場の安値を買ってもいいと考えている投資家は、売りが出尽くすまでに買いを入れようとする。
つまり、NY 市場では暴落相場の渦中でも早めの買いが入ってくる。 暴落相場を買おうとする注文が、売りをどんどん吸収していくから、その日の下げもどこかで終わり、戻り相場に入っていく。
もちろん、今回の暴落相場のように、翌日の相場も大きな売りではじまることもある。 それでも、その日の売りはすべて出尽くしているから、引け値はすっきりしている。
日本のように大量の売りが残っているんじゃないかといった不安と疑心暗鬼で、翌日の相場を迎えることはない。 昨日は昨日、今日は今日の相場だ。
それがここへ来ての、NY 市場の猛烈な戻りである。 中国リスクとかを懸念した暴落は終わった、さあここからどんな相場展開を模索していくか、投資家は次の展開に照準を置いている。
ともあれ、日本株市場も下げ過ぎた。 相当に大きな戻り相場となっていってもいいはず。 長期投資家の皆さん、この1~2週間の下げ相場で、しっかり買い増しできましたか?