昨日の日経新聞日曜版には、あっけにとられてしまう。 日本を代表する投信ファンドの上位46本が、毎週掲載されている欄を見るといい。
日本を代表する投信ということで、純資産額が多い順に上から46本を選別した上で、各ファンドの基準価額や成績を比較している。
その基準価額たるや、オイオイそんなことで大丈夫かねと、先行きを心配させる数字のオンパレード。 なにしろ、46本のファンドのうちで、基準価額が設定当初の1万円を上回っているものが、たったの8本しかないのだ。
その8本も、1万円をほんのちょっと上回った程度のファンドが5本あって、まともなものは3本しかないという有様。 投信って本来、小口投資家の財産づくりをお手伝いするためのもののはず。 ところが、日本を代表するファンド46本の中で、財産づくりのお手伝いとなっていると思えるファンドが、たったの3本しかないのだ。
さらにひどいのは、基準価額が6000円台かそれ以下のファンドが、23本もあるということ。 日本を代表するファンドのうち、半分が基準価額7000円を下回っているのだ。
目を覆いたくなるような惨憺たる成績であるが、多くが高配当もので元本を取り崩して分配した結果、1万円を大きく下回っているのだ。 分配しなかったとすると成績はずっと高いと、当の投信会社は説明している。
よくもまあ、こんな体たらくで平気なものよと、妙な感心さえ覚えてしまう。 たしかに、日本の投信顧客の大半が60歳以上の高齢者で、毎月の分配金を好むのかもしれない。 果たして、それで良いのかどうか。
毎月の分配金がお小遣い代わりになるというが、小遣いぐらいだったら預貯金から毎月一定額を引き出せばいい。 わざわざ3%近い販売手数料を払って投信を購入する必要などないはず。 その上、信託報酬も支払わなければならない。
投信の運用成績がある分、預貯金を取り崩すよりも有利なはず? それは厳密に計算してみないと分からないが、元本が6000円台にまで落ちているのをみるに、どれほど有利だったかは疑問である。
それよりなにより、いまの投信購入層がいつまでも日本の投信業界を支えてくれないという点に要注意だろう。 60歳後半から70歳代の高齢者層は、毎日着実に人生の終わりに近づいているのだ。
代わって、将来の高齢者層がお小遣い代わりといって毎月分配型の投信を好んでくれるかどうかは、大いに疑問である。 逃げ切り世代ともいわれる、現在の高齢者層とはまったく違う状況下にあるのだから。
年金財政の悪化状況をみるに、その将来がどうなるかを考えると、お小遣いといって虎の子を食いつぶしてはいられない。 大事な虎の子は少しずつでも着実に増やしておきたい。 そのニーズに応えるのは、投信が最適な器であるのは間違いない。
そういった本格的な財産づくりニーズが高まっていくにつれて、日本の投信業界はどう対応するのだろうか。 はっきりしているのは、日経の日曜版をみると明白だが、さわかみファンドの成績が他のファンドに圧倒的な差をつけている。
日本の個人投資家が本物の財産づくりに動き出すのは、もうそう遠くない先のこと。 日本の投信業界、大丈夫かな?