季節の風物詩といえるかどうか、お盆が過ぎると夏枯れ相場といった声も次第に聞かなくなっていく。 そして、コオロギの声とともに秋相場がやってくる。
好調な米国株市場の上昇トレンドに意を強くしてか、日本株を買ってもいいといった動きがあちこちで出てきている。 今朝の新聞でも、東京都が株式運用を検討しているという記事があった。
なによりも大きいのは、公的年金の運用方針の見直しだろう。 この9月には、日本株運用の上限を引き上げるのか、上限そのものを撤廃するのかが決まる。 どちらにするにしても、日本株運用の姿勢を高める方向ににあるのは変わりない。
なにはともあれ、株高歓迎のムードは結構なことである。 アベノミクスの成長戦略に入っているのかどうか知らないが、株高は一番確かな景気押し上げ要因となる。 デフレ克服にも、日本経済の活性化にも株高を活用しない手はない。
昔から、株価は景気の先行指標といわれているように、株高の景気押し上げ効果は歴史的にも幾度となく実証済みである。 アベノミクスが狙って当然の政策である。
不思議というか、経済音痴の集まりだったからか、歴代の政権は株高を景気浮上に活用しようという発想に欠けていた。 景気対策は政治家と役所の専売特許とばかり、予算つまり税金を投入すことしか考えてこなかった。 というか、予算ばら撒きと監督権限を手放すことには、なんだかんだといって阻止してきた。
たとえば、株高は政府のお金は一銭も必要としない、つまり財政に頼らない最高の景気対策である。 しかし、それをやった日には、予算ばら撒きや監督指導といった特権の出番はなくなる。 それで、株高は金持ち優遇だとか、低所得層には何の恩恵もないといった、もう使い古した殺し文句を並べるばかり。
完全に論理矛盾である。 株価上昇で財政の負担がなく景気を浮上できれば、その分を節税にまわせるし低所得層への配慮も可能となる。 また、経済活動が活発化することで雇用も増えるし、低所得層への分配も大きくなる。 別に、政治家や役所の出番がなくたって一向に構わない。
ここからが、今日のメインテーマである。 なにかというと、日本の国民がずっと犯している論理矛盾を指摘したいのだ。 国にデフレ克服や景気対策を求めて、国の財政を危機的な状況に追い詰め、かつ1039兆円にも拡大した国の借金には他人事のように目をつむってきた。
そのうち借金財政の限界が来て、予算執行に支障をきたすは国債は暴落するはで、国民生活にも大きな影響を及ぼす。 インフレにもなるだろうし、もう嫌というほどユデガエル状態を実感させられる。
そうなる前に、国民の多くが預貯金に眠らせている資金を株式投資にまわせば、どれだけ安全かをしっかり考えるべきだろう。 上に書いてきたように、株高が民間版の景気対策となり、それだけ財政の負担を減らせる。
もちろん、デフレ克服による物価上昇で預貯金の目減りを泣くこともなく、むしろインフレに乗った財産づくりを進められる。 そう、政治を待つのではなく、われわれ一般生活者が長期投資で景気回復を先導するのだ。
日本の一般生活者には、810兆円という世界最大の眠れる資源、その気になればどんなことでもできてしまえる最強の武器があるのだ。 さっさと動かない手はない。