消費税とインフレ

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 今年の4月から消費税が8%へと引き上げられた。 それまでの5%から3%幅の上昇で、消費の落ち込みがどこまであったか、気になるところである。

 それは、景気への影響もあるし、来年10月から予定されている10%への再引き上げにも関係してくる。 せっかくの景気浮上の機運が損なわれるのでは、元も子もないからだ。

 ここで考えたいのは、国の税収の中で消費税つまり間接税の比重を増やしていくのは、先進国どこでも共通の現象であるということ。 経済が成熟化してくるにつれて成長力が鈍り、法人税や個人所得税での税収が伸び悩む。 その一方で、社会保障費などの国家負担が増えていく。

 それなのに、いつまでも間接税の導入や税率の引き上げをためらい、直接税ばかりに頼っていると、財政悪化が進み国の借金が著増していく。 その典型例が、日本である。

 今年8%へ、来年の10月に10%へと消費税が引き上げられたとしても、それで驚いてはいけない。 先進国の平均は17%台であり、日本の財政状況からは20%以上に引き上げられてもおかしくはないのだから。

 さて、冒頭の景気への影響だが、ちょっと頭を切り替えてみよう。 増加一途の社会保障費を消費税など間接税で国民が広く薄く負担していくのは、成熟経済にとっては避けられない道である。

 しかるに、消費の落ち込みとかを懸念して間接税の引き上げをためらっていると、財政の負担が増え続けいつかはパンクする。 もはや国債の増発に頼れなくなった段階で、予算執行も社会保障もガタガタとなる。

 同時に、増発し続けた国債が値崩れに転じる。 そうなると、国債を買いまくっている日銀の財務急悪化から円の信用力低下、つまりインフレの火がつく。

 ひとたびインフレの火がつくと、諸物価はたちまち5%とか10%の上昇をみる。 生活者への負担は否応なしで増える。 とりわけ、いつも公共料金の値上げが最初に来るから、家計への悪影響は必至である。

 そう、消費税を上げずに頑張ったところで、いずれインフレで生活者負担は増えるだけのこと。 成熟経済では社会保障は手厚く、税負担は低くなんてのは、あり得ないことなのだ。

 そこを無理に無理を重ねているのが日本で、そういった無理はいつまでも続くわけがない。 さて、どう生活防衛するか? 本格的な長期投資をどんどん進めておくことが一番である。

 どうせ税負担は増えるから、その支払い能力を長期投資で高めておこう。 もちろん、インフレが到来したら長期投資のありがたみを実感する。 そこで、さわかみファンドは大きく輝いていることになる。