とにかく、お金をまわしてやろう

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 日本経済や社会の活性化は国民すべての願いである。 だからといって、景気対策や雇用促進は政府や企業の役割と押しつけるだけでは、なかなか前に進まない。 それが、成熟経済の難しいところである。

 現に、バブル崩壊後23年にわたって国は毎年に均すと19兆円ほどの景気対策予算を投入してきたが、日本経済はずっと低迷を続けた。 毎年19兆円前後の予算投入ということは、単純計算すると日本経済は3.8%の成長をしても良いはず。 だが、なんの効果もなかった。

 ただ、国の借金が1000兆円を超すほどに膨れ上がっただけだ。 経済全体のパイが大きくなるのではなく、国富ベースでみると国の借金増加の相手方として、民間の国債保有という資産勘定が増えただけ。

 企業の方も、グローバル経済に対応する投資を積極的に進めるなど、すさまじいまでの自助努力には目を見張らされる。 それが業績の伸びにはっきり現れれている。

 問題は、もはや時代適応力に欠ける旧態依然の企業や、はじめから税金頼みの政府系企業が多すぎることだ。 まったくといっていいほど富を創出できない企業や事業体は、経済の重荷であり国の借金が増えるだけである。

 どうすればいい? 一般生活者が積極的にお金を動かすことだ。 経済規模は動いているお金の量であり、経済成長はそのスピードであるから、国民がお金をどんどんつかうなりしてやれば、経済はたちまち活性化する。

 いま国民は810兆円の預貯金を抱えているが、その利子は年0.02%ほどでしかない。 そこからは、年間にしてたったの1620億円の富しか生まれない。 これでは、日本経済の拡大にスズメの涙ほどの効果もない。

 たとえば、その810兆円の10%がさわかみファンド購入にまわるとしようか。 すると、81兆円が企業を応援する長期投資に向かうわけで、単純計算ながら日本経済を16.9%拡大できる。 とんでもない経済効果を生み出せることになる。

 そして、さわかみファンドは設定来15年弱で年4.5%に回っているから、これも単純計算だが81兆円のファンド保有からは3兆6450億円のリターンがもたらされる。

 これが、お金をまわすことだ。 消費でも長期投資でも、なんでもいい。 年0.02%の預貯金に寝かせておくよりは、比べものにならないほど大きな経済効果を生み出せる。

 高齢層が預貯金の60%ちょっとを保有しており、将来不安もありなかなかお金をつかわない? それでも一向に構わない。 810兆円の全部とは言っていない、その10%の81兆円が動くだけでもう十分である。

 アベノミクスなど国の景気対策を待ち望むより先に、われわれ一般生活者が預貯金マネーを消費や長期投資で、どんどん経済の現場に放り込んでやろう。 まわりまわって必ず戻ってくる、それも大きく育って。 経済とは、そういうことである。